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* 習慣 *




浅い夢から覚めて
いつもの癖で、髪を掻き上げる
手から滑り落ちる髪が、不意にすとん、と途切れて――
その短さを、ようやく思い出す

ざんばらの髪。長いところで、ようやく肩に届くか届かないかの
自らの手で切り落としたのは、もう十日も前のことだというのに
――慣れないもんだな、こういうのって


『らうっ! おはよっ! るふぃーり、おなか、すいたっ♪』
まるで猫の子のようにじゃれついてくるチビに、ため息交じりの苦笑
「お前なあ、開口一番それかよ」
『らうっ!』
はじけるような笑顔。ほんわかとした体温
無邪気で人懐こくて、とにかく我侭な、光の竜
出会って十日で、すっかり俺の日常に溶け込んでしまった、小さな台風

――慣れとは、恐ろしいものだ。













  ここでは本編では語られることのない、日常のほんの小さな出来事を綴っていきます。
  んでもって、一番最初のお話は、「未来の卵」終了後、遺跡から大平原を横切ってエストの村へ帰る道中での一コマ。
 実はこのネタが思い浮かんだ故に、この日常の一コマシリーズをひねり出したという……(^^ゞ

 髪を切った後、しばらく前の感覚が残ってしまって困ることってないですか? 私はしょっちゅうです(爆) ない髪をいじろうとするだけならまだしも、コンタクトレンズ入れてても無意識に鼻筋触ってるくらいですから(メガネがすぐにずり落ちる人)。
 一方で、あっという間に馴染んでしまうもの、というものありまして。携帯電話やパソコンなんて、本当にそんな感じだった気がします。あっという間に当たり前になってしまって、ないと不便を感じてしょうがない。ほんの十年前までは、どちらも(うちには)存在しなかったものなのにね。

初出 2005.11.03



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