[BACK] [TOP] [HOME]
* 指定席 *




猫は、その家で一番居心地の良い場所を知っている

… 北大陸ローラ国西部に伝わることわざ …



「おーい、チビすけー!」
「あれ、そっちにもいませんか? おっかしいなあ」
「一体どこ行ったんだ、あのちびはっ!!」

「広場はどうでした?」
「いや、いない。レオーナんとこにもいなかったし、村長の家にも……」
「いつ頃からいなくなったんでしたっけ?」
「昼飯食って、その後すぐに消えたんだ」
「となると、半刻も経ってませんし、そう遠くへは行っていないと思うんですが……」

「いた」

「え? いたってどこに」

「ここ」


「あ」

柔らかな光の差す寝室
ふんわりお日様の匂いがする、干したばかりの羽毛布団の上

丸くなって眠る、その満足そうな顔に

一同、ため息

「幸せそうな顔しやがって……」



猫と子供は、その家で一番居心地の良い場所を知っている














 夏、暑かったら猫を探せ、という話を聞いたことがあって、そこから浮かんだ小ネタ。
 彼らは一番涼しい場所を知っているのです。そして、居心地のいい場所も。

初出 2005.11.03



<< >>
[BACK] [TOP] [HOME]