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* 雨宿り *
「雨が降る」
言ったそばから 大粒の雨
大きな榎の木の下で
ほんの少しの雨宿り
「風が強いから、すぐに止むだろうな」 ――空を仰ぐもの
「この木こそ、かの有名な『エレシュガルの榎』ですよ。なんでも百五十年前……」 ――大地を語るもの
「たんぽぽ」 ――足元を見つめるもの
同じ場所から
違う時を思う
それでも
進む道は一緒だから
「上がった」
「お、早かったな」
「さあ、行きましょうか」
同じ場所にいても、見つめるものは違う。それでも一緒に旅をしているのは、彼らの絆が固く結ばれているから。
どういうお話にしようかと迷って、現在(アイシャ)・過去(カイト)・未来(エスタス)の構図を思いついたらすんなり形になったお話です。
最初は「大きな栗の木の下で」にしようとしていたのは内緒(笑)
榎は一里塚に植えられていた木だったりします。
初出 2006.08.14
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