雪だるまを作ろう、と言い出したケイさんに
それはいいね、と返事してしまったのは
久々に見た雪景色が
故郷を思い出させたからか
それとも ただ単純に
きらきらと光る雪が
僅かに残る子供心を刺激したからか
冬晴れの空を背に ふたつの雪だるま
木炭がなかったからと ケイさんが持ってきたアルミ缶を埋め込んで
銀色の目玉が光る ちょっと異星人っぽい姿は
たったの一晩で
天へと 地へと
還っていって
あとに残ったのは
手の平の痒みと
ちょっと楽しい、冬の日の思い出
「また作ろうね」
「……遠慮します」