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Tales of Farn外伝・雨宿り
――雨が、降っていた。

 昼過ぎから降り出した雨は、夕刻を過ぎても一向に止む気配がない。
「くそ、いつになったら止むんだ」
 思わず口を吐いた悪態すらも、雨粒が屋根を激しく叩く音に掻き消されてしまうほどの大雨。これでは、たとえ今すぐに雨が上がったところで、道がぬかるんでまともに歩けないだろう。
「……今日はここで野宿だな」
 はあ、と溜息をついて、少年は小屋の隅に広げたびしょ濡れの荷物を一瞥すると、更に重苦しい息を吐いた。
 突然の雨に逃げ込んだ先が、すでに使われなくなって久しい炭焼き小屋だったのは幸いだった。炭焼き窯はまだ崩れていないし、加工前の木材も積み残されている。濡れた服も、絞って干しておけば朝までにはどうにか乾くだろう。
 問題は、少年が道中で火口箱を落としてしまい、折角の窯に火がつけられないこと。更に、食料が底を尽きており、干し肉の一かけらも残っていないことだ。
「ついてねえなあ」
 荷物の奥にしまい込んでいた着替えすらも濡れてしまったので、下履き一枚に素足という、どうにもしまらない恰好で立ち尽くす少年。薄暗い小屋の中、その燃えるような赤い髪だけが、雨に色彩を奪われてしまった世界の中で唯一、鮮やかな色を帯びている。
 簡素な作りの小屋は、窯の両側を壁板で遮って屋根をかけただけだ。奥と正面は開口しており、激しい雨に濁流と化した目の前の山道をつぶさに観察することが出来る。
 することもないので、ぼんやりと雨を眺めていた少年の目に、ふと光るものが飛び込んできた。
「……ん?」
 雨にけぶる視界の中、段々と近づいてくる金色の光。激しい雨音をかき乱すように、律動的な足音が聞こえてくる。
 この足音は獣ではない。人だ。
 咄嗟に、壁に立てかけておいた長剣を手に取り、いつでも抜けるように身構える。
 そして、雨の紗幕を掻い潜り、ようやく姿形をはっきり捉えることが出来る距離まで近づいてきたその人物に、少年は思わず目を瞠った。
 豪雨の中でも輝きを失わない金の髪。淡い色の長衣は雨に濡れて体に張りつき、白くすんなりとした手には青い石のついた杖が握られている。
「すみません、雨宿りさせていただいても宜しいですか?」
 雨音に負けじと張り上げられた声は耳に心地よく、その顔はまるで古代彫刻の女神像の如く整っている。そして、何よりも目を惹くのは、深い海を思わせる青い双眸。
 そのあまりの美しさに思わず息を飲んだ少年は、言葉に詰まってただひたすら頷くことしか出来なかった。

「自己紹介が遅くなりました。私はリファ。一人旅をしています」
 髪を拭きながらそう名乗った麗人は、反応のなさに小首を傾げ、そしてああ、と小さく呟くともう一度、同じ台詞を繰り返した。ただし、この地で使われているメルニアス語ではなく、南大陸で広く使われているパルーク語でだ。
恐らく、褐色の肌や目鼻立ちから、少年が南大陸出身だと悟ったのだろう。久しぶりに聞く故郷の言葉はとても懐かしく、胸の奥に押し込めていた郷愁がどっと溢れそうになって、慌てて頭を振ると、あたふたと自己紹介を返す。
「俺はラーン。南大陸から来た、旅の剣士だ。あんたのパルーク語はすごく上手だけど、メルニアス語でいいぜ。一通りは分かるつもりだ」
「それは助かります。南大陸語はとても素敵な響きを持つ言語ですが、なかなかに難しいのでね」
 あっさりとメルニアス語に戻し、ところで、と話を変えるリファ。
「炎が見えたと思ってやって来たのですが、あなたの髪だったのですね」
「俺も、誰かが明かりを持って近づいてきたのかと思ったよ。あんたの髪だったんだな」
 奇しくも似たようなことを考えていたと分かって、同時に吹き出す二人。
「街道から外れた場所で、雨宿りの場所を見つけられるとは実に幸運でした。あなたの髪に感謝しないとね」
「そいつはどうも。本物の火だったらなお良かったんだろうけどな」
「この窯は使えないのですか?」
 単刀直入なリファの言葉に、ラーンは苦虫を噛み潰したような顔になった。
「……火口箱を落としたんだよ」
「それは災難でしたね。生憎と自分も持ち合わせがないのですが――」
 小さくくしゃみをして、これは失礼と口を押えるリファに、ラーンは慌ててくるりと背を向けた。
「悪い、気が利かなくて。早くその服を脱いで乾かした方がいいぜ。風邪ひいちまう」
 良いっていうまで絶対振り向かないから、と、どっかりその場に腰を下ろし、更に両目を手で覆い隠すラーンに、きょとんと眼を瞬かせたリファは、すぐに合点がいったらしく、実に楽しげな笑い声を上げた。
「これは失礼! お気遣いなく。私は女性ではありませんので、着替えを見られても問題ありませんよ」
「ええっ!?」
 思わず振り返り、濡れて体に貼りついていた長衣を脱ごうと四苦八苦しているリファをまじまじと見つめて、どっと息を吐く。
 リファの言葉通り、露わになった上半身は線こそ細いものの、明らかに男性の体つきだ。
「ほんとだ。なんだよ、ちょっと期待したのに」
「覗く気満々だったわけですか」
「いや、そういうことじゃなくてだな」
「まあ、この顔ですから、間違われるのには慣れてますのでね。ああ、着替えが無事でよかった」
 そそくさと着替えを終え、濡れた服を絞って干してしまうと、リファはさて、と傍らに立てかけておいた杖を手に取った。
「これではいつまで経っても乾きませんからね」
 そう言って、ひょいと一振りする。それだけで、長年使われていなかった炭焼き窯に火が灯り、あっという間に大きな炎となって辺りを明るく照らし出した。
「へえ。あんた、魔法使いなのか」
 特に驚くでもなく言ってくるラーンに、どこか楽しげに頷くリファ。
「ええ。あなたが魔術士を忌み嫌う方でなくてほっとしました」
「? ……ああ、そういや中央では魔術士が迫害されてるって聞いたな。俺の生まれた村には魔法使いのばあさんがいたけど、嫌われてなんかいなかったぜ。もっとも、あっちじゃ水を呼べる精霊使いの方が重宝がられるけどな」
 ラーンの生まれ故郷は熱砂の南大陸。人々は限られた土地にしがみつくようにして暮らしている。水場の奪い合いが頻繁に起こるような土地では、水を呼ぶことのできる術士は神の如く崇められている。
「なるほど、あちらでは水は貴重でしょうからね。私も精霊の力を借りることが出来るのですが、これほど雨が降っていると火の精霊は嫌がって来てくれないのでね。こういう時、魔術は便利です」
 杖を手放し、窯のそばにまとめてあった荷物へと手を伸ばすリファ。中からごそごそと取りだしたのは、携帯用の小鍋と水袋だ。
「もしよろしければ、お茶でもいかがですか?」
 喜んで、と答える前に、腹の虫が「ぐうう」と代わりに返事をした。
「生憎と携帯食料しかありませんが、それでもよければ、早目の夕食にしましょうか」
 くすくすと笑いながら、更に荷物を漁るリファに、ラーンは髪と同じくらい顔を赤く染めて「ありがてえ」と心からの感謝を述べた。


「止みませんねぇ」
 干し肉と堅焼きパンという簡素な夕食を平らげる間に、辺りはすっかり真っ暗になってしまった。日が落ちてなお降り続ける雨に、金髪の麗人はため息交じりの呟きを漏らす。
「この季節にこんな大雨が降るのは珍しいんですが……。トゥーラン神殿の予報でも、ここ二、三日は晴天だと言っていたんですけどね」
 先ほどより幾分か勢いは衰えたものの、雨雲は頑として彼らの頭上から移動する気配がない。
「立っていないで、座ったらどうですか?」
「あ? ……ああ……」
 ぼうっと雨音を聞いていたラーンは、その言葉にはっと我に返ると、リファの真向かいに腰を下ろした。
「いかがですか? その恰好では冷えるでしょう」
 まだ服が乾いていないので、ラーンは未だに下履き姿だ。故郷では年中こんな格好でも風邪を引くことはなかったが、ここは中央大陸。いくら初夏とはいえ、この時間に半裸はさすがに冷える。
 差し出された杯を受け取り、ゆっくりと傾けると、ほのかな薬草の香りが鼻孔をくすぐった。
「……旨いな、これ」
「特製ですよ。風邪の予防薬だと思って、もう一杯どうぞ」
 にっこりと笑ってお代わりを注ぐリファ。残りを自分の杯に注ぎ足して、小鍋を片隅に追いやる。
「ところで、ラーンさんはどちらへ向かっていたんですか?」
 実に丁寧な呼びかけに、少年は気恥ずかしそうに頭を掻いた。
「ラーンでいい。俺は、この先のギースの町に行こうとしてたんだ。途中で食料が尽きて、近くの村で調達しようと思って脇道に逸れたら迷っちまって。どうにかして街道に戻ろうとしてたら、あの雨だ。慌ててこの小屋に飛び込んだってわけさ」
「なるほど。私も同じようなものですよ。とはいえ、私は特に目的もなく、ぶらぶらと旅をしているだけなんですがね」
 その若さで当てもない一人旅とは変わっているな、と思いつつ、他人のことが言える立場ではないことを思い出して頬を掻く。
「ギースの町に、どなたか知り合いでも? いえ、あの町は旅人もあまり立ち寄らない、辺鄙な場所ですからね。仲間や仕事を探すのでしたら、その先のカーシェルへ行った方が良いと思いますよ」
 どうやら、駆け出しの冒険者か何かと思われたようだ。あながち間違ってもいないが、ラーンの目的は少々異なっている。
「俺は――親の仇を討つために旅をしてる」
「仇?」
 リファの顔から笑みが消え、青い双眸に強い光が宿る。
「ああ。炎の形の首飾りをぶら下げた、黒ずくめの連中だ。俺の母親の命はそいつらに奪われた。それだけじゃない、母が守っていたパリーの秘宝までも、奪って行きやがった」
 思い出すだけで、胸の奥から焔にも似た感情が湧き上がってくる。母を奪った邪教集団に対する怒り。そして、その場に駆けつけることさえできず、遠い地で傭兵稼業に明け暮れていた己に対する怒り――。
「俺はその場にいなかったから、母さんを殺した奴らの顔は知らない。でも、どうにか足取りを追って、そいつらがこの中央大陸に渡ったことを突き止めたんだ」
 奇しくも、母が凶刃に倒れたその時、傭兵として国境付近の小競り合いに参加していた中央大陸南部のメルニアス王国。半年ばかり滞在したおかげで、それなりに愛着もあるこの国を、こんな形で再訪することになるなど思いもしなかった。
「とはいえ、中央大陸は広いからな。なかなか見つからなくてあちこち回ってたんだけど、ついこの間、この先のギースの町でそれらしき連中を見たって噂を聞いて、様子を探りに行こうとしてたんだ。まさか、こんなところで足止めを食うとは思わなかったけどな」
 そう締め括り、はたと頭を掻く。
「胸糞悪い話を聞かせちまったな。すまない」
 どうして見ず知らずの人間にここまで話してしまったのか、自分でも分からなかった。それどころか、こんなに長く、誰かと話したのは久しぶりかもしれない。
 降り続く雨音、焚火の爆ぜる音。そして何より、静かに聞き入る旅人の穏やかな瞳。それらが、それまで頑なに閉ざされていたラーンの口を、自然と開かせたのかもしれなかった。
 と、それまで黙って話を聞いていたリファが、おもむろに口を開いた。
「その『黒ずくめの連中』というのは、『黒き炎』と呼ばれる集団のことですか?」
「知ってるのか!?」
 思わずぐいと詰め寄るラーンに、リファは至極冷静に頷いてみせる。
「ええ。最近、あちこちで噂を耳にしますよ。なんでもうら若い乙女をさらっては邪神への生贄にしているとか、伝説の邪竜を復活させようとしているとか……」
「本拠地は? 奴らの本拠地はどこにある!?」
「さあ、そこまでは……」
 そうか、と肩を落とすラーンに、そういえば、と呟くリファ。
「これは噂ですが、ギースの町近辺で、このところ魔術士が何人も姿を消しているという話を耳にしました。この辺りは魔術士への風当たりがさほど強くないんですが、ギースに行くなら気をつけなさいと言われましてね」
「やっぱりそうか……ありがとな!」
「待ちなさい!」
 剣を掴んで走り出しかけたラーンを、見た目よりはるかに力強い腕がぐいと引き留める。
「どこへ行こうというんです?」
「決まってる! ギースへ行って、連中を一人残らずぶっ倒してやるんだ!」
「無理ですよ。あなた一人では」
 あっさり言われて、思わず「なんだって!?」と食って掛かれば、冷ややかな瞳で射抜かれた。その気迫に飲まれてぐっと押し黙ったところに、穏やかな声で畳みかけられる。
「こう見えて、私も剣の嗜みがありますのでね。あなたが年の割に優れた剣士であることは分かります。しかし、今のあなたでは無理です」
「どうしてだよ!?」
「今のあなたからは、憎しみの波動が色濃く感じられます。怒りや憎しみに任せて剣を振るえば、その力に飲みこまれてしまう。感情で剣を振るってはいけない。それが剣士の鉄則です」
「!!」
 まるで頭から氷水を浴びせられたようだった。
 『剣は感情で抜いてはいけない』――それは、遥か昔に亡くなった父から最初に教えられたことだ。
 怒りや憎しみで振るわれた刃は、更なる怒りや憎しみを生み出す。だからこそ、剣士は常に己を律する必要がある。それが、かつて傭兵稼業で生計を立てていた父の口癖だった。
 いつかは父のようになりたいと、寝る間も惜しんで鍛錬に明け暮れた。父を失ってからも、一日たりとも鍛錬を欠かしたことはない。
 そうして家を飛び出し、母の訃報を聞くまで、傭兵として剣を振るう日々を続けてきた。その間も、父の口癖を忘れたことなどなかったはずなのに。
(――俺は、未熟だ)
 項垂れるラーンからそっと手を離し、その肩を叩く。
「明日になれば、雨は止むでしょう。それからでも遅くありませんよ。今は休みましょう。身も、心もね」
 穏やかに紡がれる言葉は、子守歌のように優しく、ラーンの胸に染み渡る。
「それに――その恰好で敵討ちというのも、随分間抜けな話ですからね」
 付け足された言葉に、はたと自身の恰好を思い出す。確かに、下履き一丁で剣をぶら下げていたら、敵討ちを果たす前に警備隊に捕まってしまう。
「はは、違いねえ」
 ひとしきり笑ってから、そう言えばこんな風に笑い声を上げたのは久しぶりだと気づく。
 一緒に笑い転げてくれた金髪の魔術士は、先程までの気迫は何処へやら、柔和な笑みを浮かべてこちらを見つめている。
「……ありがとな」
 何と言っていいか分からず、口から滑り出たのは、そんな短い謝辞。
「どういたしまして」
 すまし顔で答えたリファは、おもむろに荷物の中から小さく折り畳まれた毛布を取り出すと、ひょいと放り投げた。狙い過たずラーンの胸板に当たり、ぽすんとその手に収まる。
「火は見ていますから、どうぞ先に休んでください」
 言われて初めて、全身を包み込むような眠気を自覚する。そう言えば、ここのところ「眠りたい」と感じたことすらなかった気がした。それほどまでに思いつめていたのかと、今更ながらに気づかされる。
「それじゃ、お言葉に甘えて」
 ごそごそと毛布に包まり、まぶたを閉じた瞬間、まるで暗い海に沈み込むように、意識が遠のいていく。
「おやすみなさい。良い夢を」
 そんな声を彼方に聞きながら、ラーンは深い眠りへと落ちていった。


 目が覚めた瞬間、飛び込んできたのは眩い光。
「おはようございます」
 朗らかな声に、がばっと体を起こせば、明るい朝の日差しに照らされた小屋の中、忙しなく動き回っている麗人の姿があった。
「いい天気になりましたよ」
 リファの言葉通り、空は雲一つなく澄み渡り、昨日の雨が嘘のようだ。
「はい、着替えてくださいね」
 手渡されたのは、きちんと畳まれた衣類。見れば、リファはすでに着替えを終えており、窯の前にはささやかな朝食の用意までされていた。
「あんた、ちゃんと寝たのか?」
「ええ、きちんと休みましたよ。さあ、着替えたら朝食にしましょう。昼前にはギースの町に辿り着きたいところですからね」
「??」
 目を瞬かせるラーンに、ぱちりと片目を瞑ってみせるリファ。
「あなた一人では無理だと言ったでしょう? でも、二人だったら勝機はあると思いませんか?」
 途端に顔を輝かせたラーンだったが、すぐに表情を取り繕って、でも、と頬を掻く。
「あんたは、自分の目的があるんじゃないのか? 俺の敵討ちに手を貸しても、あんたの得になるとは思えないんだが」
 その言葉に、金髪の魔術士は楽しそうに笑う。
「ちょうど一仕事終えたばかりで、今は暇なんですよ。それに、ギースの町で魔術士が頻繁に姿を消しているというのなら、私も危険でしょうからね。一人で行くより、あなたと一緒の方が安全だと思うんです。ほら、利害は一致してるでしょう?」
 というわけで、と右手を差し出すリファ。
「しばらくの間、よろしくお願いします。ラーン」
「……ああ。よろしく頼むぜ、リファさん」
「リファで結構ですよ。さあ、朝食を片付けてしまいましょう! ほら、着替えた着替えた!」
 ばしんと背中を叩かれて、思わず叫び声を上げる。
「いってえ!」
「生きている証拠ですよ。ほら早く。ああ、そうだ。小屋の裏手に清水が沸き出しているところがありましたから、顔を洗うついでに水を汲んできてください」
「うへえ、人使い荒いなあ」
 ぼやきつつ、もそもそと服を身に着け、押し付けられた水袋を手に歩き出す。
「うわ、眩しいな」
 小屋を一歩出た途端、どっと押し寄せる色彩と音の洪水。色鮮やかな緑。賑やかな鳥達の歌声。何もかもが昨日の雨に洗い流されて、世界は新しく生まれ変わったかのようだ。
 初夏の日差しが照らすのは、まだ見ぬ明日へと続く道。昨日まで孤独に突き進んできた道とは違う、賑やかで刺激に満ち溢れた、そんな旅路となるだろう。
 そんな新たな日々を、この一歩から始めよう。
「せーのっ!」
 掛け声とともに飛び越えた水たまりに映し出された空は、どこまでも青く透き通っていた。
終わり


 Tales of Farn外伝・雨宿り、お楽しみいただけましたでしょうか?
 こちらは、本来ならToF本編で回想シーンとして入れる予定だったお話ですが、本編の構成を考えた結果、あまり必要性のないシーンだったので、お蔵入りしようと思っていました。
 今回、どうしてもCOMITIA112に新刊が出せず、せめて何か出せないかと思ったところ、書きかけで放置された上に本編から外されてしまったこのエピソードを思い出し、それだったら外伝として独立させよう! ということでこのような形での公開になりました。

 本当はペーパーの裏側に載せるくらいの分量で収めるつもりだったのですが、思いのほか長くなりまして、特設ページを作って先行公開、という形になりました(^^ゞ(※2015.06.15より通常公開しております)

 まだ西大陸に渡る前、母の仇を追って中央大陸にやってきたばかりのラーンと、一人気ままな旅をしていたリファの出会い。
 この後、二人はギースの町に巣食っていた邪教集団『黒き炎』を一掃することに成功しますが、末端組織だったためロクな情報も得られず、また南大陸のパリー分神殿を強襲してラーンの母を殺めた一派の手掛かりも得られなかったため、次なる手掛かりを求めて放浪することに。リファもそのまま、「どうせ暇ですし」という理由で(笑) ラーンの旅に同行し、旅を続けることとなります。
 その辺の話も、いずれ機会があれば書いてみたいと思っていますが、この二人だけだとツッコミ役不在でひたすらドツキ漫才になってしまうので、改めてエルク(本編主人公)の偉大さを痛感しました(笑)
2015.05.05 seeds

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