夕日が沈む頃になって、ようやく『私』は目を覚ます。
角灯の中で大きく伸びをし、夕焼けを浴びて真っ赤に染まる相棒の髪にうっとりと目を細める。
『今日はいい天気だったわね。おかげでたっぷり力を溜め込めたわ』
「そいつは上々。今夜はお前さんだけが頼りだからな」
本日の獲物は闇夜茸。新月の夜のみ採取できる希少な一品だ。
『任せといて!』
私の使命は、この生真面目な契約者を守ること。
苦手な闇夜だって、彼のためなら何のその。
日中に溜めた光を解き放ち、闇を払って足元を照らす。
『一晩中だって輝き続けてみせるから』
「やめろ。そんなことしたらお前が消えちまうよ」
契約精霊なんて使い捨てなのに、真顔でそんなことを言う貴方だから。