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命の水
 ――正直なところ、ネタが尽きたんだ。
 連れて行かれた酒場で、養父はあっけらかんと笑う。
「しかしまあ、たまにはこんなのもいいかと思ってな」
「そんなこと言って、自分が飲みたいだけだろ」
 呆れ顔で答えつつ、通りがかった看板娘を捕まえて注文をする。
「ツマミを適当に、あと――」
「例の酒を頼むよ」
「かしこまりました~!」
 訳知り顔で引っ込んだ看板娘は、すぐに太めの瓶を抱えて戻ってきた。
「ジェノア産の二十五年物? こんな蒸留酒よくあったな」
「ああ、随分前から探してもらっていたんだ」
 古めかしい瓶をそっと取り上げ、慎重に注ぐ。
「いい酒だからな。味わって飲むんだぞ」
「分かってら」
 初めて差し向かいで飲んだ酒は、喉に沁みた。
Twitter300字ss」 第二十三回「のむ」
 ラウル二十五歳、『未来の卵』がはじまる一年くらい前のお話です。
 それまでは毎年いろんなものをプレゼントしてたんですが、とうとうネタが切れた模様(笑)
2018.02.09


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