世の中にはよく、「運命的な出会い」だの「雷に打たれたように」などとおっしゃる方がいらっしゃるけれど、そんなのは嘘だと思っていたわ。
だってそうでしょう? 出会った瞬間に生涯の伴侶だと分かるなら、別れる人なんていないはずだもの。
だけど、今回ばかりは私も、この主張を撤回せざるを得ないようね。
なぜならたった今、私も恋に落ちたから。
「うへえ、真っ白になっちまった」
騒音と共に転がり込んできた、一人の若者。けほけほ咳き込みながらも隙なく辺りを見回す金色の双眸は、まるで鷹のよう。自由を愛し、高く空を飛ぶ孤高の鷹。籠の鳥である私とは大違いだわ。
思わず見つめてしまったら、不意に目が合った。
その瞬間、その金の瞳に、心まで射抜かれてしまったの。
「あんたが、銀の姫?」
「そうよ、泥棒さん。それとも人攫いさんかしら? でも残念ね。私をさらっても、いいことなんてないわよ」
そう、私は籠の鳥。可愛がってくれる人もなく、気にかけてくれる者もなく、ここで一人歌うだけの、無力な銀の小鳥――なんて、ちょっと感傷的かしら。泥棒さんもちょっと呆れ顔だわ。
「でも……私がいなくなっても、きっと誰も困らないの」
お城にも、この塔にも、私を必要としてくれる人はいない。誰にも気に止められないのなら、それはいないのと一緒だわ。
だけど、目の前にいる泥棒さんは、まっすぐに私を見てくれている。瞳をきらきらさせて、まるで宝石でも見るように。
私にとって、あなたの瞳こそが宝石。
そう、あなたこそが、一番の宝物だわ。
「荒野の塔に秘められたお宝、この『鷹の目』が確かに頂いた。さあ、行こう! 我が姫君」
「ええ、いいわ。世界の果てまで連れて行って。私の泥棒さん」
たとえ今日、世界が終わっても
あなたと一緒ならば、怖くない
あなたは自由 あなたは希望
私の、ただ一つの宝物