<< ◇ >> |
第四場 〜転〜 |
◇裏山 ◇◇◇◇◇(舞台)岩 ◇◇◇◇◇(音響)なし ◇◇◇◇◇(照明)明 ミ ラ なんと言われようと、私は評議会の命令に従うだけだ 部 長 だから、評議会と話がしたい。連絡をつけてくれないか ミ ラ 私の持っている通信機では、評議会に連絡をとるなには7日かかる。私は6日後までに任務を終えなければならない。今から評議会に ◇◇◇連絡をしていては、間に合わない。何しろ、評議会の本部は人間のような下等動物には想像も出来ないほど遠いところにあるのだからな 部 長 人間は下等ではない! ミ ラ 下等だ。下等でなくて何と呼ぶんだ? 自らの星の寿命を縮め、自らの命までも縮めているではないか。しかも、同じ種族同士で殺し合い ◇◇◇までする 部 長 だからといって、滅ぼして問題が解決するわけではないだろう ミ ラ 解決する 部 長 ……では、たとえ人間が愚かな存在だとしても、この地球に生きているほかの生命はどうなる? 動物や植物、すべてのものの生きる ◇◇◇権利を侵害することは、何人たりとも許されない! ミ ラ 『人間』は動物を絶滅させ、植物を伐採しているではないか 部 長 全ての人間がそうなんじゃない! ミ ラ それでも大半の人間がそうだという事実はある ◇◇◇◇◇(音響)ブザー 部 長 なんだ? ミ ラ 評議会からの定期通信だ。(コンパクトを取り出してスイッチを入れる) 評議長 (声)人間の諸君。このまま何もせずに終わるのもつまらないだろうから、一つここで『シーちゃんの宇宙の神秘講座』第一回、宇宙の ◇◇◇誕生、そして……を始めよう ミ ラ いらんっ!(コンパクトのスイッチを切ってしまう) 部 長 シータ評議長か……。あれで本当に評議長なのだから、頭をひねるな ミ ラ 全くだ……っておまえ評議長を知っているような口を聞くな。貴様はいったい何者だ? その評議会のペンダントを持っているということは、 ◇◇◇少なくとも地球人ではないだろう。この最終兵器も、地球の科学では決して産み出せない高度の技術が詰め込まれている。そして、この ◇◇◇兵器は作られてから、百年以上はたっているな 部 長 私は確かに地球人ではないし、年も二百歳を越えている。私は、君と同じN254惑星から来た者だ。百年前、この最終兵器とともに…… ミ ラ ……ドクター・ルカか 部 長 私を知っているのか ミ ラ 評議会技術開発チームの科学者であり、天才の名を欲しいままにしたドクター・ルカ。自分の作り出した兵器のあまりの威力に、それと共に ◇◇◇逃走したと聞いている。こんな辺境まで逃げていたとはな 部 長 お褒めにあずかり光栄だ ミ ラ 誰も褒めてない! 部 長 とにかく、この星を滅ぼすことは許さない。そこをどきたまえ。最終兵器を破壊する ミ ラ そんな事が出来るのか? 部 長 この装置を使えばな。(携帯電話を取り出す)この破壊装置を作る場所と時間を得るために、私はここまで逃げてきて、最終兵器を百年間、 ◇◇◇地中深く封印したんだ。百年後、地上に現れるようセットしてな ◇◇◇◇◇(音響)チャイム 部 長 予鈴が鳴っている。ミラ、悪いが続きは放課後だ ミ ラ 分かった。ここで待つ ◇◇◇◇◇部長、上手に退場 ◇◇◇◇◇セレ、下手から登場 セ レ あの…… ミ ラ 誰だ! セ レ お久しぶりです、ミラ先輩 ミ ラ お前は……セレ、セレじゃないか。どうしてここに? セ レ (ペンダントを見せて)銀河連合評議会所属、『地球』担当の監察官、セレです ミ ラ お前がここの担当者だったのか。だが、何故ここが分かった? セ レ 昨日、この裏山から妙な光が見えたので、もしやと思っていたんです。先輩、今の話、聞かせていただきました。地球破壊命令が出された ◇◇◇んですか? ミ ラ 何だ、知らなかったのか? セ レ はい ミ ラ ……おまえ、通信機の留守番機能を使ってみろ セ レ はい。(コンパクトを取り出してスイッチを入れる) 評議長 (声)銀河連合評議会所属、『地球』担当監察官、セレに告ぐ。第五次観察報告書の報告から、評議会は地球破壊命令を発令した。現地 ◇◇◇には特別派遣官のミラが向かう。ミラと協力し、命令を実行せよ セ レ 留守番電話が入ってたなんて気付かなかった……でも、なんで? あたしは『排除すべき存在かどうかは確定出来ない。更に調査を続け ◇◇◇る』と報告したはずですよ ミ ラ 何? 私の戴いた報告書コピーには、『下等動物に支配され、破滅寸前』と書かれていたぞ セ レ 嘘っ! 見せて下さいっ! ミ ラ ああ(コピーを見せる) セ レ (読んで)あー! これは確か前任地の惑星ペコペコの報告書の失敗した奴! 間違えて送っちゃったんだ! ミ ラ なんだって? 本当か? セ レ そうだ……、机の上にいろんな書類つんどいたから……、どーしよー…… ミ ラ だが、お前が今まで送っていた地球の観測データは間違いではないのだろう? ミ ラ それはそうなんですけど…… ◇◇◇◇◇(音響)チャイム セ レ とりあえず私、次の授業があるので(立ち上がる) ◇◇◇◇◇セレ、上手に退場 ミ ラ セレか……ハイスクール時代の後輩きってのうっかり者だったが、まだ治ってなかったのか。だが、何を悩んでいるんだ、あいつは? ◇◇◇◇◇(照明)暗転 ◇教室 ◇◇◇◇◇(舞台)机と椅子 ◇◇◇◇◇(音響)なし ◇◇◇◇◇(照明)明 ◇◇◇◇◇掃除中の朱里とかすみ。教室の隅でぼんやりしているセレ 朱 里 あーあ、やっと帰れると思ったのに、今週は教室当番だったなんて かすみ ぼやかないぼやかない。それに、朱里は今日部活あるでしょ 朱 里 うん、確か……そうだったよね、麗ちゃん? セ レ えっ? 何? 朱 里 もう、麗ちゃんってばさっきからぼーっとしちゃって。かすみのぼーっとしてんのがうつったの? かすみ もぉ、人を病気みたいに言わないでよ 朱 里 今日は部活あるっけ? 麗ちゃん セ レ えっと、そうだよ。あ、あたし出らんないから。ごめん 朱 里 うん。分かった。部長さんに伝えておくね。じゃ、これでいいからゴミ捨て行こ ◇◇◇◇◇朱里とかすみ退場 セ レ どうしよう……。せっかくここまで引き伸ばしてたのに、間違った報告しちゃったなんて…。そうだ、直接評議会に掛け合って……。でも、 ◇◇◇私の通信機じゃ評議会に届くのに一週間もかかるし……。そうだ! あの部長さんに相談すればいいんだ! 優秀な科学者なんだから、 ◇◇◇何かいい案があるかも! ◇◇◇◇◇部長登場 部 長 呼んだかね? セ レ わっ! 部長さん……じゃなかった、ドクター・ルカ 部 長 君は……? セ レ (ペンダントを見せる)銀河連合評議会、『地球』担当の観察官、セレといいます。ドクター・ルカにお願いがあるんです! 部 長 なんだね? セ レ 実はこれこれこういう訳で、ドクター・ルカに何かいい案はないかと 部 長 なるほど。君が諸悪の根源というわけだね セ レ ごめんなさいっ! 部 長 ああ、責めているわけではない。君だって悪気があってやったわけではないだろうからね。よし。力を貸そう。つまりすぐに評議会に連絡が ◇◇◇取れればいいわけだ セ レ はい! 部 長 これを貸してあげよう。(携帯電話を取り出す)超高性能の通信機だ。これならすぐに連絡が取れる セ レ ありがとうございますっ! ◇◇◇◇◇セレ退場 ◇◇◇◇◇かすみと朱里、ゴミ捨てから帰ってくる。朱里はすぐに退場 部 長 かすみ君、今日の部活は中止だ。ミラを説得してくる。ああ、君はこない方がいい。人間など下等と思っている奴だ。近寄ると危ない。 ◇◇◇なぁに、私なら大丈夫だ。心配ない。それじゃあな ◇◇◇◇◇部長退場 かすみ 部長、本当に一人で大丈夫なのかな…… ◇◇◇◇◇(照明)暗転 |
<< ◇ >> |