+ 後書き +


 最初に叫ばせて下さい。

 漫画を小説にするのは難しいよぉぉぉぉっ!!

 ……失礼しました。

 小説版「PRAY 〜花に願いを〜」、お楽しみいただけたでしょうか?
 こちらは「漫画原作大募集!」に応募させていただいた「漫画用シナリオ」を、seedsなりに小説化したものです。

 この小説を書くに当たり、私は自身に一つの制約を課しました。それは、シナリオに書かれていないことを極力書かないこと。
 一応原作者ですから、いくら設定を追加しようが削ろうが勝手だろう、と思われるかもしれませんが、なるべく漫画と同じ情報量で、その中で漫画と小説の違いが出せたらなあと思ったんです。

 漫画と小説の表現方法はかなり異なります。漫画なら数コマで描けるシーンが小説では何頁にも渡ってしまったり、逆に小説では一文で表わせることが、漫画では延々何頁もかかってしまったり。何よりも漫画には「絵」があり目に見える「動き」がありますが、小説ではそれらを一旦文章で頭の中に入れ、脳内で自分なりのイメージを膨らませる必要があります。
 この表現方法の違いが、私を相当苦しめました(笑)

 で、小説化する上で、何が困ったかと言うと、主人公ニルスの名前が最後まで出てこないことでした。
 漫画であれば、「ニルスは○○した」と書かなくても絵を見れば誰が何をしているかは一目瞭然。しかし小説では、少なくとも「彼は」「少年は」とでも表現しなければ、状況が掴めない。しかしそうなると、キオとの区別がつきにくくなるし、かといっていちいち「黒髪の守人」「村から来た少年」と書いていては鬱陶しい(あくまでも私の技量では、ということですが)。

 第一稿はしごく普通の三人称で書き始めましたが、出だしで詰まってしまい、その先に進めなくなってしまいました。
 第二稿は少々趣を変えて、「童話風」を目指してみました。今まで一度も書いたことのない、「○○は××をしようと、■■を手に取りました。すると……だったのです」という文体で書いてみたところ、なんだか下手くそな翻訳小説のようになってしまって、結局挫折。
 そこで第三稿ではニルスの一人称で話を進めてみたところ、これがうまく馴染んで、最後まで書くことが出来ました。

 ニルスの村に伝わる、花の伝説。精霊はいなかったけれど、願いは叶った。
 伝説は、あながち嘘ではなかったのだと、そう思います。

 ちなみに、こちらの話は完全オリジナルで、「幻想世界ファーン」とは異なる世界のお話になります。なので精霊が本当に実在するかは不明。キオも「守人」であって、「森人」ではありません。念のため(^^ゞ

2005.02.06 seeds

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