気づいた時にはぎゅっと胸に抱きしめて、レジへと向かっていた。
給料前の財布には些か厳しい出費だったが、気にしないふりをしよう。
お店で一番大きい袋でも入りきらない大きさだったから、そのまま抱きしめて家まで帰る。
人の目を気にする余裕などなかった。なぜなら前が見えなかったから。
なんとか一人暮らしのアパートへ帰り着いて、上着も脱がずに圧縮袋の封を開けば、ぷしゅー、と気の抜けた音が響く。
サバ折りで圧縮されていた白い物体は、あっという間にふかふかでもちもちのアザラシへと姿を変えた。
まん丸な黒い瞳が私を見つめる。
いらっしゃい、私の