創世の神々
幻想世界ファーンを創世し十一柱の神々は、「大地の五神」「天空の五神」「月の魔神」に分類される。
神々は世界を作り上げたのち、遙か上空に浮かぶ『天の神殿』から地上を見守っているとされている。
大地の五神
微笑を絶やさない少女神
十一人の神々の頂点に立つ存在
光と命の女神ガイリア
《教義》
命の尊厳を説き、輪廻を司る
よって輪廻の輪を乱す不死や生き返りの術を禁じている
《司るもの》 光・生(生命)
《二次的に司るもの》 治療
《術》 光・治癒・命(禁呪)
《一般信仰者》 女性、農民、医師、薬師など
《神殿の役割》
命の女神を祭るガイリア神殿は、主に病院・産院としての役割を担っている。大概の怪我や病気であれば神殿で治してもらえるが、度合いに応じた治療代が必要となる。
《禁呪》
魂を創造する術。
本来ならばガイリアにしか許されていない行為であり、神殿では命を生み出す術を禁じているが、命の神秘に触れようとするものが、時にこの禁呪に触れようとする。
氷のような眼差しの女神
水と美の女神アイシャス
《教義》
流れ行き、移り行く水の如く、美しさと変化を尊厳。交流による社会の活性化を提唱する。
《司るもの》 水・美
《二次的に司るもの》 氷・流れ・変化・商売・芸術
《術》 水・氷・変化
《一般信仰者》 芸術家、商人、船乗りなど
《神殿の役割》
水の女神を祭るアイシャス神殿は、消防や治水の役割を担っている。
火事の際にはアイシャス神殿から消防隊が出動し、また堤防の建設や補修、水路の点検なども彼らの仕事となる。
大都市など上下水道のある場所では、アイシャス神殿がその管理をしている。
交流を尊ぶ神であることから、商業ギルドの役割を果たしているところもある。また、芸術の神でもあることから、あらゆる芸術家が集まる場所にもなっており、大きな神殿には舞台や音楽堂が併設され、芝居や音楽会、展覧会などが行われる。
北大陸では『氷の女神』として崇められており、大陸の北にある山脈にアイシャスの住まう宮殿があると言い伝えられている。
穏やかな笑顔を浮かべる女神
その額に星の歴史を綴った帯を結ぶ
大地と智の女神ルース
《教義》
豊饒の大地の如き知識や豊かさ、大地の上に積み重なる歴史を尊厳
《司るもの》 大地・智
《二次的に司るもの》 歴史・記憶・豊かさ
《術》 大地・知識・植物・食料
《一般信仰者》 学者、賢者、教師、農民など
《神殿の役割》
大地の女神を祀るルース神殿は、作物の生産管理や技術指導を行う「農業組合」としての一面と、知識神の神殿として世界各地の書物や資料を収集・管理・研究する「図書館・研究院」としての一面を持っている。地域によってどちらに力を入れているかは異なる。
また、全てのルース神殿は子供を対象に読み書き・算術・歴史などを教える場となっており、ファーンの識字率が高いのはルース神殿の功績によるところが大きい。
白銀の鎧に身を包む戦女神
風と戦の女神ケルナ
《教義》
どこまでも吹き行く風の如く、探究心を尊厳
《司るもの》 風・戦(境の拡張)
《二次的に司るもの》 勇気・運
《術》 風・念動・祝福(武器・防具の強化など)
《一般信仰者》 戦士、騎士、旅人など
《神殿の役割》
風の女神ケルナは冒険者の神としても崇められていることから、その神殿は傭兵斡旋所や冒険者ギルドとしての役目を果たしている。また、セインによる警備隊がない場所では、その代わりに警備隊としての役割を担っていることもある。
ケルナ本神殿はかつて、ケルナを国教としていたシールズ神聖国(東大陸)の王宮も兼ねていた。しかし国が共和制へと移行したことからその役目を終え、以降は各地のケルナ神殿を束ねる本来の役割を果たしている。
本神殿参りは幸運を招くと評判で、巡礼者が絶えない。
炎のような舞姫
情熱的な舞姿は見るもの全てを魅了する
炎と愛の女神パリー
《教義》
炎の揺らめきの如く、情熱と魂の感性を説く
《司るもの》 炎・愛
《二次的に司るもの》 開放・踊り
《術》 炎・精神操作(高揚系)
《一般信仰者》 踊り子、鍛冶屋など
《神殿の役割》
火の女神を祭るパリー神殿は、消防隊としての役割を担っているところもあるが、縁結びの神としての知名度が高く、若い男女の参拝客が絶えない。また舞踊の神でもあることから踊り子たちが集まる場所ともなっている。
意外なところでは、火薬の管理などもパリー神殿が行っている場合がある。
天空の五神
冷たい目をした少年神
ガイリアの恋人的存在
闇と死の神ユーク
《教義》
闇のもたらす安らぎの尊厳
《司るもの》 闇・死(生命)
《二次的に司るもの》 葬儀
《術》 闇・死霊返し・眠り・精神操作(安らぎ)・肉体操作(安らぎ)・死霊(禁呪)
《一般信仰者》 墓守、医師、薬師など
《神殿の役割》
死の神を崇めるユーク神殿は、葬儀・墓地管理の役目を担っており、普段はさほど縁のない神殿である。
治癒の術こそないものの、ユークは生命を司る神でもあることから、ファーン新世暦100年頃より医術を神殿にて教えるようになった。
《禁呪》
死体に彷徨える魂を吹き込み自在に操ったり、死者の記憶を読み取ったりと、数々の邪法が存在する。これは『影の神殿』と呼ばれる歪んだユーク信者らが好んで使っているもので、ユーク神殿は『影の神殿』の壊滅を使命としている。
ユーク神殿では知識としてのみこれらの邪法を教えている。
時空の双神が一
一見して厳格な印象を受けるが、実際は穏やかな性格をしている
時間の神ルファス
《教義》
巡りめぐる時の流れの如き永遠不偏を説く
《司るもの》 時間
《二次的に司るもの》 永遠・正確さ
《術》 時間認識・時間操作(禁呪)
《一般信仰者》 時計職人など
《神殿の役割》
時計台や鐘つき堂など、町や村に必ず存在する「時の鐘」は、すべてルファス神殿がその役目を担っている。
《禁呪》
時の流れに干渉する術。制御に失敗すると、術者を中心に時間の流れが暴走する、《狂える時》と呼ばれる現象が発生する。
時に関する術を一切封印されているルファス神官達だが、彼らは神より正確無比な「体内時計」を授かっている。これは、精神を集中させればたちどころに現在時刻が分かるもので、時と場合によっては非常に役立つ能力と言えよう。
時空の双神が一
手にした水晶球にて全てを見通す
難解な言い回しをして人を惑わせる
空間の神トゥーラン
《教義》
すべての存在の集合体である空間、その世界法則と、そこから導き出される未来を説く
《司るもの》 空間
《二次的に司るもの》 予測・予知
《術》 情報伝達・空間操作・念動・予知・空間転移
《一般信仰者》 学者、占い師など
《神殿の役割》
空間神トゥーランの神殿は本神殿以外ほとんど知られていない。ごくまれに分神殿が存在するが、社会的役割と言えば情報交換の場程度のものである。
本神殿は世界中のあらゆる情報を収集・分析していると言われているが、一般人には馴染みの薄い神殿であることは間違いない。逆に、占い師などはほとんどトゥーラン神の信者であり、信者の知名度は高いのに神殿の知名度が低い、きわめて珍しい神殿であると言えよう。
《禁呪》
かつて空間転移術は世界律を歪める危うい術として研究途中で封印され、禁呪とされていたが、魔術士達が安全な術を開発した事がきっかけで神殿でも研究が進み、ファーン復活暦750年頃に解禁となった。
信者泣かせの無口な青年神
沈黙が語る平和の尊さ
境界と静寂の神セイン
《教義》
定められた境界の尊厳、平和の尊さを説く
《司るもの》 境界・静けさ
《二次的に司るもの》 境界の維持・平和
《術》 防御・警戒・音声消去
《一般信仰者》 警備隊など
《神殿の役割》
境界の神セインの神殿は警備隊や守備隊として地域に根付いている。セインは「守るための戦い・平和の尊厳」を提唱しており、警邏と指導によって犯罪や事件・事故を最小限にするのが彼らの狙いである。
沈着冷静な法の番人
封印と束縛の神クストー
《教義》
法の遵守と理性の尊厳
《司るもの》 封印・束縛
《二次的に司るもの》 理性・法律
《術》 封印・精神操作(沈静)・肉体操作(束縛)
《一般信仰者》 商人、裁判官など
《神殿の役割》
封印の神クストーの神殿は裁判所としての役割を果たす。とはいえ、地域ごとにその強制力は異なり、まったく機能していない場所もある。
セイン神殿と連携して、街中で起こる事件に対処する場合が多い。また、その性質上国家と深く関わりを持っており、逆に一般市民には馴染みが薄い神殿と言えよう。
また、封印の神という性質から、過去の邪法や負の遺産などを神殿にて永久封印しており、それらを奪おうと神殿に押し入る邪な輩も後を絶たないという。
月の魔神
月に住まう孤高の魔神
魔神リィーム
《教義》
なし
《司るもの》 魔
《二次的に司るもの》 なし
《術》 ※術体系参照
《一般信仰者》 魔術士
《神殿の役割》
魔神の神殿は存在しない。
魔術士の塔・魔術士ギルドについては術体系を参照のこと。
《禁呪》
生命の複製や創造、時間への干渉は古くから禁呪とされ、術の開発すらも禁じられている。
また、行き過ぎた精神干渉や強烈な破壊力を持つ攻撃魔術などは塔やギルドが禁じているが、術自体は存在するために使用する不心得者も少なくない。
かつては空間への干渉も禁じられていたが、ファーン復活暦710年頃になって研究による術の安全性が認められ、解禁となった。
【リィームについて】
ファーン十一神のうち唯一、対となる神がいない孤高の存在。
世界を巡り夜を照らす月を創り、そこに自らの力を満たすと、神々の暮らす《神殿》を離れて移り住む。
神として信仰されることはほとんどないが、ファーンに存在するすべての魔術士は、月の影響を受け、先天的に魔力を体内に宿して生まれており、魔術士達にとっては「信仰」というよりも「魔術士として存在しうるための拠り所」として認識されている。
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