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魔女の大釜



「ちょっと、材料これで揃ってるの?」

「ええと、マンドラゴラの根、夜泣き蛙の足、赤トカゲの尻尾、アルニカの花――」

「……なんか毒っぽいの混じってないっすか」

「あら、レシピを間違えちゃいましたわね。こっちですわ」

「えーっと、マンドラゴラの葉っぱ、クラーケンの足、おばけホタテにコカトリスの胸肉――」

「マンドラゴラは結局入るんだ……」

「クラーケンの足って、こないだ剣術科の子達が手に入れてきたヤツ?」

「そうそう、あの時は大変でしたわ。剣がちっとも通用しないんですもの」


カランカラン


「ちわー、お届けものでーす。薬草園のネリーさんから皆さんに、料理用の香辛料と薬草だってよー」

「わ、ありがとうございます」

「えーっと、月桂樹にタイムにコリアンダー、アニス、フェンネルにディル、ローズマリー、サフラン……」

「……こんなにたくさん使えと?」

「いや、全部使えとは言ってないっしょ」

「はい、じゃ受領書にサインお願いしまっす。はい、まいどー!」


カランカラン


「はい、じゃあそっちの人は材料をじゃんじゃん切って! こっちの人は煮汁を作って! 基本はトマトよ。それでどうにかまとまるでしょ」

「どうにかまとまるって……そもそも、ナニを作ろうとしてるんだ?」

「あらあ、困りましたわ〜。このクラーケンの足、弾力がありすぎて刃が立ちませんわ〜」

「ええ、そうなんですのよ。だからあの時も――」

「じゃあこうすればいいのよ。『見えざる刃よ、我が力、我が腕となりて――』」

「わー!! こんな狭いところでカマイタチの魔法なんか使わないでよっ!!」

スパスパスパスパッ!

「きゃああっ」

「あらあら、マントが破けちゃいましたわ」

「お気に入りの帽子がー!!」

「お洋服が……」

「ごめーん、ちょっとやりすぎたわー」

「やりすぎたじゃないよ! もういいから座ってて!」

「あのー、ちょっといいっすか」

「何よ、邪魔しないでよ。今大事なところなんだから――」

「今、どさって入れた調味料、唐辛子の粉末だと思うんですケド」

「え、そんなはず……あ、ホントだ」

「うわあ、ものすごく辛そうな色に……」

「大丈夫! トマトで誤魔化せるわよ!」

「じゃあ、ついでにこの辺の調味料も入れちゃいましょうか」

「あ、いいねいいね。きっと味にアクセントがついて美味しくなるわよ」



「……ちゃんと食えるもんになるのかな……」

「試食しろって言われる前に逃げときましょーか」


こそこそこそ


「はい、完成☆」





ぐつぐつぐつぐつ




魔女の大釜

(赤い悪魔風)


学園の魔術科で実際に使われている大釜を使って調理した、大胆かつ繊細な煮込み料理


特殊効果:ほかほか

(5ターン「ほかほか」状態になる。氷系の魔法を無効化)

(ただし5ターン後に唇が腫れて猛烈な辛さに襲われる)