以前から気になっていたのだ。
時折店の前を通りかかる銀髪の美少女。レースをたっぷり使った白いワンピースにお揃いのボンネット。まるでお人形のような彼女は、ショーウィンドウの新作ドレスを眺めては、幸せそうに溜息をついたり、何やら難しい顔をして考え込んだり。
どうせなら中に入ってじっくり見ていけばいいのに、こちらに気付くと申し訳なさそうにお辞儀をして、足早に去ってしまう。
なので決めた。次に彼女を見かけたら――。
「ねえ、あなた!」
背後から声をかけ、飛び上がって驚く彼女の手をぎゅっと握りしめる。
「モデルになってくれない?」
ずっと考えていたのだ。彼女に似合う服はどんなものか。
そう、今度は私が彼女を眺める番だ。