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新緑の季節
 ついこの間まで寒風が吹き荒れていたというのに、気がつけば花の季節が過ぎて、木々は日毎に青さを増していく。
 遥か頭上に揺れる世界樹の枝もまた緑に染まり、陽の光を浴びて光り輝くようだ。
「いい季節になったねえ」
 裏庭に寝転がり、木漏れ日に手を伸ばせば、爽やかな風が吹き抜けていく。
「こんな日は店に篭ってないで外に出ないとね」
「そういう理由で店を閉めるな!」
 どこからともなく響いてきた怒声に、おやと顔を上げれば、板塀の向こうから覗く紺の帽子。自慢の翼を使えば塀などひとっとびだろうに、そうしないところが実に彼らしい。
「お仕事ご苦労さま~。手紙? 小包?」
「どっちもだ。さっさと店を開けやがれ、このぐうたらエルフ!」
Twitter300字SS」 第四十一回「新しい」
 裏庭で昼寝するぐうたら店主と、律儀な郵便配達人の小話(^^ゞ
 「新しい」というお題を見てぱっと思いついたのが「新緑」だったので、こんなお話に。

 これはまだ、お人形ちゃんことリリル・マリルがいない頃のお話。
 オルト君は律儀なので、空を飛べば簡単に塀を越えられると分かっていても、許可なく裏庭に押し入ったりはしないのです(^^ゞ (鍵を渡されて店に出入り自由になるのは、約一年後のお話)

 しかし、「店に篭ってないで外に出ないと」と言いながら、裏庭に出ただけというのも、ちょっとどうかと思います(^_^;)
 余談ですが、「ユージーン骨董店」の裏庭は結構広いので、お洗濯物が干し放題です。
 まだこの頃はハンモックがなくて、故に彼は地面に直接寝転がっております……。ぐうたらにもほどがあるだろう……(*_*)
2018.04.11


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