すべての思い出が辿り着く場所。
そこは――まさしく世界の果てだった。
果てなき海と終わりなき空、その狭間にぽつんと浮かぶ島。
泡沫の世界群から切り離された、隔絶された時空間。
現実と交わらない座標軸。進まない時。永遠に繰り返される朝と夜。
果てなき世界の、果ての果て。
そんな最果ての島には、白亜の塔が建っている。
塔に住まうは古き神。
いくつもの世界を粉々に砕き、いくつもの可能性を棄てた神。
創造と破壊の力を手放し、自ら幽閉を望んだ神は、今日も暇を持て余している。
海岸線を彷徨き回り、時折流れ着く不思議な物を
それが己に課された罰だと、分かっているからこそ。
神は今日も、罪滅ぼしのために暇を持て余す。
「……というわけで、不思議な物が手に入ったから近々届けに行くよ」
『古き神とやらは幽閉されてるんじゃないのかい』
「自身の《影》を使って外に出る分にはルール違反じゃないだろう?」
『いい加減な制約だなあ』