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 魔法街ザナヴェスカ。北大陸の山間にひっそりと佇む小さな街は、知る人ぞ知る観光名所だ。
 街の象徴でもある巨木《世界樹》は言うまでもなく、名品珍品が揃う《魔法道具街》や、古今東西の食料品が集まる露店街《胃袋》。
 《星見の塔》で星の神秘に思いを馳せるもよし、《廃坑酒蔵》特製の蒸留酒に舌鼓を打つもよし。
 買い物から美食、観光から娯楽まで、この街には何でも揃っている。
 そういった華やかな場所ばかりが注目されがちだが、実を言うと一番の名所は、北端の丘から見下ろす町並みだ。
 夜の帳が落ちる頃、街のあちこちで光り出す魔法の光。
 星屑角灯の淡く冷たい光に照らされて青く染まる町並みこそが一番美しいのだと、住民達は口を揃える。
魔法街案内・終わり


 こちらは「300字SSトラベルアンソロジー企画 『ANYWHERE!』」に寄稿したSSの、きっかり300字版です。
 実際に寄稿したものは、ページレイアウトを考慮して250字まで削ったものなのですが、最初は300字きっかりで書いていたので、サイトにはこちらを掲載することにしました。
 こちらのアンソロジーのコンセプトは「300字あればどこでも行ける!」。現実世界から空想世界まで、様々な旅が詰まった一冊です。
 同人誌版は主催者の世津路さんが素敵な背景をつけてくださっていて、ほんっとーに素敵な仕上がりです!
 世津路さんのBOOTH通販でお求めいただけますので、ぜひご覧ください\(^_^)/
2020.09.27


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