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* 手を繋いで *




町の外 森の中
ぽっかり空いた 小さな洞窟

「こんなところで迷子とはねえ」
「ここは昔から、子供達の遊び場だったらしいですよ」
「大分前に閉鎖したって言ってたけど……ああ、これじゃ意味ないな」
「こんないい加減な塞ぎ方じゃ、子供じゃなくても入れますよって、アイシャ! 一人で行かないで下さいっ」

角灯かざして いざ出発
冷たい風に ご用心

「あれ? 角灯が消えちゃいましたね」
「うわ、真っ暗だな。前が全然見えないぞ」
「……暗い」
「はぐれたら危険です。手を繋いでいきましょう!」


ぎゅっ。

「アイシャ、手が冷たいですねー」
「冷たい? これが普通」

ぎゅっ。

「硬い」
「硬い? ああ、剣胼胝か」

ぎゅっ。

「……って、やめろよカイト、三人で輪になってどうするんだ」
「僕、何もしてませんけど?」


「え?」


くすくすくす……







 真夏の怪談風、と見せかけて、 「四人目」は迷子になっていた子供当人だった、というオチだったりして(笑)
 見つける前に向こうが三人組を見つけた模様。で、改めて四人で手を繋いで村へ凱旋、と。

初出 2006.07.21



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