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* マント *




毛皮の縁取り 王者の威厳
赤い裏打ち 勇者の証
青い絹地は乙女の憧れ
緑の頭巾は巡礼者

では
黒いマントは誰のもの?


「大体ね、『魔術士といえば黒』っていうのが納得いかないわけよ。ったく辛気臭くてイヤになっちゃう!」
んなことオレに言われてもさー
そもそも、誰がそんなこと決めたわけ?
「それが分からないから腹立たしいんじゃないの!」
だからってオレに当たられても
「というわけで、この不条理な決まりを打開するべく、開発したのがこれよ!」
えー、なになに?

『透明マント』

これって、着ると透明になるってアレか?
うわ、マジであるんだ、こんなの
今度貸して下さい、おししょーサマ
「いいわよ? ほら、着てみなさいよ」
どれどれ、なんだ見た目は普通のマントっすね
「いい? これで呪文を唱えると……」





あー、透けるね。確かに。

マントが。

「これで黒マントの憂鬱とはおさらばよ!」
……だったらマント着なきゃいいじゃん
「馬鹿ね! どうしても寒い時とか、困るじゃない! これなら厚着していないように見えるから便利でしょ」
どこが便利なんだか分かんね〜

あっ、そうだ
それなら『透明服』作って下さい、おししょーサマ

「いーわよ。アンタが着るならね」

え、遠慮しきます……






 魔法使いといえば黒いマントというイメージがあるのは私だけでしょうか?
 蝙蝠男、とボケそうになったのはナイショ(^^ゞ ちなみに、「乙女の憧れ」は王子様のことです(^_^;)
 マントと言っても色々な形状がありますが、よく御伽噺に出てくる王子様のマント(片方の肩と腰?で止める一枚布タイプ?)はいかにも儀礼的で実用性がなくて好きです(笑)

 小説本文では「外套」と表記しているマントですが、外套だとコートも入っちゃうので、今回はあえて「マント」としてみました。本文中でもどうしようか、ちょっと思案中。
初出 2007.07.14



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