「K」 - 1/7

めがねのきし

 こまった。ひじょーに、こまった。
 今日からじゅぎょーがはじまるっていうのに、ふでばこがない。
 どうしよう。さいしょのじゅぎょーからかくものがないなんて、きっとせんせーにおこられる。
「どうした」
 うしろからこえがして、びっくりしてふりむくと、そこにはメガネをかけたヤツがいた。
「もしかして、筆記用具を忘れたのか? 仕方ないやつだな。これを使え」
 わたしてくれたエンピツはぴかぴかで。そいつのメガネもぴかぴかだった。
「ありがと……えっと、だれだっけ」
「俺は岸だ。岸千夜きしかずや
「きし……、すげー、かっこいいなまえだな!」
 そういうと、そいつはおどろいたようなかおをして、それからぽつりと、こういったんだ。
「そんなことを言われたのは、生まれて初めてだ」