ぴーーんぽーーん
ぴーーーんぽーーーん
「ふぁ~い……いまでますー……」
目覚ましより早く 鳴り響くチャイム
寝ぼけ眼で出て行けば 毎度おなじみの宅配便のお兄さん
「まいどー、キジトラ急便ですー。佐藤さんのお宅ですねー」
「はいー……」
「えーっと、佐藤様よりお届けものです。あ、ハンコお願いできますか?」
「はぁーい」
ぺったん
「はい、まいどー」
不意に届いた段ポール箱は
やけに重くて 『天地無用』
「かーさんかなー? おばーちゃんかなー?」

「……さとうたかし?」
そんな親戚 いたっけかー?
『pipipipipipi』
『じりりりりりりりりりり』
僅かにずれて鳴り響く
携帯アラームと目覚まし時計
目覚まし前に起きたのなんて
入学以来の 椿事かも
「てことは、今日は遅刻しないー。らっきー♪」
ばしゃばしゃ がしがし
顔を洗って
がさがさ ごそごそ
着替えを漁って
がちゃがちゃ ぎゅうぎゅう
鞄を持ったら
鏡に向かって はい、ポーズ☆
「おし、今日もいい感じ!」
はねてる髪は ご愛嬌
帽子をかぶって 靴履いて
「ごめんね荷物クン、キミのご主人サマ探しは帰ってきてからで!」
それまで わたしの この”お城”を
じっくり眺めていてください
「いってきまーす!」