「うーん、うーん、やっぱりカロリーが気になるしなー」
半月も前から、スーパーでもらってきたカタログを広げちゃ溜息をつく、そんなあの人に。
「はい。クッキー」
「えー、やったあ!」
”カロリーが気になる”はどこへ行ったのやら。
「……って、これ紅茶じゃなーい」
そう。
『甘いけどカロリーは控えめ。まさに夢のクリスマススウィーツ!』
……なんて煽り文句を見た途端、
スウィーツの誘惑にそろそろ耐え切れなくなっている人の顔が、ぽんと浮かんだものだから。
気付いたら籠に入れてたなんて、ホントはナイショだ。
「んもー、POPに踊らされちゃダメだよう。でも美味しそうだね。じゃ、早速これでおやつにしよう!」
先輩にもらったマドレーヌがあるんだー、などと言いながら水屋へ向かう足取りは軽やかで。
どうやらカロリーの話はどこかへ置いてけぼりになったらしい。
クリスマスの日に、豪華なケーキが食卓に上るのは間違いなさそうだ。