ぽわん、という気の抜けた音とともに、部屋中に広がる甘い香り。
「できましたわ~!」
喜びの声を上げる《極光の魔女》。満足げに見つめる大釜の中は何やらキラキラと光っている。
「ハル君」
「はい?」
振り返った少年の口に、ぽんと放り込まれた小さな粒。
「甘っ! なんすか、これ」
「今度の祭に出そうと思ってますの。お味はいかが?」
「……光ってるっス」
全身から淡い光を放つ少年に、魔女は呑気に小首を傾げた。
「星の粒みたいで面白いと思ったのですけど」
確かに見た目はいい。しかし、食べると体が光り出す金平糖など誰が買うというのか。
「作り直しですわねえ」
残念そうに漏らした吐息が、途中から笑い声に変わる。
「ユラ師ー! 酷いっす!」