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甘い星粒
 ぽわん、という気の抜けた音とともに、部屋中に広がる甘い香り。
「できましたわ~!」
 喜びの声を上げる《極光の魔女》。満足げに見つめる大釜の中は何やらキラキラと光っている。
「ハル君」
「はい?」
 振り返った少年の口に、ぽんと放り込まれた小さな粒。
「甘っ! なんすか、これ」
「今度の祭に出そうと思ってますの。お味はいかが?」
「……光ってるっス」
 全身から淡い光を放つ少年に、魔女は呑気に小首を傾げた。
「星の粒みたいで面白いと思ったのですけど」
 確かに見た目はいい。しかし、食べると体が光り出す金平糖など誰が買うというのか。
「作り直しですわねえ」
 残念そうに漏らした吐息が、途中から笑い声に変わる。
「ユラ師ー! 酷いっす!」

Twitter300字ss」 第十八回「光」
 実はこれが「Twitter300字ss」初参加のSS。サルベージを怠っておりましたが、ようやくサイトに格納できました(^^ゞ
 『北の塔』の魔女姉妹(妹の方)《極光の魔女》ユリシエラと、塔の見習い魔術士ハルが繰り広げる日常です。

 「光」→「星」→「金平糖」という安易な連想ゲームが生んだ作品です。
 魔女の作るお菓子なので、普通じゃつまらないと思い、星粒のように光らせてみました(笑)
 それにしてもハル君、肝心の「味」については言及してませんが、どうだったんでしょうか(^^ゞ

 そしてこちらのSSの続きが、同時に出した「あなたの傍に」です。
2017.07.10


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