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残光
 夕日が沈む頃になって、ようやく『私』は目を覚ます。

 角灯の中で大きく伸びをし、夕焼けを浴びて真っ赤に染まる相棒の髪にうっとりと目を細める。
『今日はいい天気だったわね。おかげでたっぷり力を溜め込めたわ』
「そいつは上々。今夜はお前さんだけが頼りだからな」
 本日の獲物は闇夜茸。新月の夜のみ採取できる希少な一品だ。
『任せといて!』
 私の使命は、この生真面目な契約者を守ること。
 苦手な闇夜だって、彼のためなら何のその。
 日中に溜めた光を解き放ち、闇を払って足元を照らす。
『一晩中だって輝き続けてみせるから』
「やめろ。そんなことしたらお前が消えちまうよ」

 契約精霊なんて使い捨てなのに、真顔でそんなことを言う貴方だから。
 こちらは第9回 Text-Revolutions内有志企画「300字SSポストカードラリー」参加作品。
 八回目となる今回のお題は「架空生物」でした。
 以前「twitter300字SS」に参加した「あなたの傍に」に出てくる精霊術士と、彼の契約精霊である光の乙女のお話です。
 ちなみに、こちらと連動していたのが当日無料配布冊子として配る予定だった「あなたの傍に」(掌編)です。こちらもweb公開しておりますので、合わせてお楽しみください。

 残念ながら、配布予定だったテキレボ9は台風接近のため開催中止となりましたが、こちらの「300字SSポストカードラリー」は企画主宰様のご尽力により、「遠隔300字SSポストカードラリー」として期間限定・通販による疑似ラリーとして開催される運びとなりました。
 「残光」を含め、素敵な作品たちを一挙にゲットするチャンスですので、ぜひ皆さんご参加くださいませ(^o^)丿
2019.10.16



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