夕日が沈む頃になって、ようやく『彼女』は目を覚ます。
角灯の中で大きく伸びをし、夕日の残滓を纏って嬉しそうに笑う。
『今日は良い天気だったわね。おかげでたっぷり力を溜め込めたわ』
「そいつは上々。今夜はお前さんだけが頼りだからな」
本日の獲物は闇夜茸。新月の夜のみ採取できる希少な一品だ。
『任せといて! 一晩中だって輝き続けてみせるから』
胸を張る彼女に、わざと険しい顔を作る。
「やめろ。そんなことしたらお前が消えちまうよ」
どうも前の契約者との間で何かあったようだが、少なくとも俺は、意味もなく契約精霊を酷使したりはしない。そんなことで、大切な相棒を失うわけにはいかないのだ。
『冗談よ。光ある限り、そばにいるわ』