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白昼夢

 夢の中で、私は
 喫茶店のオープンテラスから、なんとはなしに景色を見ていた
 車の行きかう大通り。向かいには、色とりどりの花が溢れるお花やさん
 季節は、春なのか。柔らかい日差しに目を細める

 歩道には学校帰りの男子中学生の群れ
 ふざけあって、こづきあって、帰路を楽しんでいる
 花やの店先には季節の花々。そして、小さな花束

 そんな中、花やさんの前で立ち止まった、一人の男の子
 ちょっととまどいつつも、学ランのポケットからお財布を取り出して、小さな花束を手にとる
 たまたま通りかかった友達に見つかって、からかわれながら
 男の子は花束を買い、大切そうにそっと胸に抱えた
 友人のからかいと誰何。誰にあげる花束なのか

 ――母さんの 誕生日なんだ――

 そう答えた彼は、照れてはいたけど
 決して恥ずかしがってはいなかった

 ああ
 君にとって、その"母さん"は
 きっととても大好きな人なんだね
 友達にマザコンだのなんだのとからかわれても、構わないくらいに

 そう思っている私と
 男の子の視線が
 一瞬ぴたりと重なる

 ――母さん! ――

 はじける笑顔。そこだけが天然色に彩られ、ほかが霞んでしまうくらいに眩しくて

 あ、そうか
 君のお母さんは 私なんだ


 夢の中でなぜか納得して 目が覚める

 まだ結婚もしていない
 まだ恋もしていない
 そんな私の ある日の夢。

-完-


 ……夢というより、願望ですか。
 とはいえ、私はかなりちっちゃい頃から、プレゼントを母親にあげてました。
 男子にせよ女子にせよ、中学頃になると親へのプレゼントって恥ずかしいのか、「○○をあげたんだ」なんていうと珍しがられましたが、それでもずーっと続けてました。
 うちの母親はバラの花が大好きで、母の日なんかもカーネーションは嫌いとごねられ(^_^;)、バラの花束を贈ってました。しまいには花屋に顔を覚えられてしまったくらいです。

 人になにかをプレゼントするのって楽しいです。
 プレゼントされると嬉しいですし。
 あ、でも、どーしよーもなくいらないものもらうのはちょっとね(^_^;)
 そういえば、面倒くさがりの私の性格を見越し、誕生日に「サボテン」を贈ってくれた友人がいました。
 なるほど、よく分かってるじゃんと苦笑したものですが、一年経ったら枯れちゃった(>_<)
 ごめんよ、サボテンでも駄目らしい。次はイミテーショングリーンあたりに・・・・・・(←こら)

 ちなみに。この文章を書いたのって今の旦那と付き合う前なんですよね。
 紆余曲折あって、結婚して生まれたのは本当に男の子だったわけで。
 いつかこれ、現実になんないかなあ〜。


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