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tasting
 ひょんなことからコンビを組むことになった相棒は、まさに『万能』だ。仕事は言うに及ばず、シャツのアイロン掛けから庭木の手入れまで、何をさせてもそつなくこなす――はずだった。
「おい。主に毒見させるってのはどういう了見だ」
「毒見とは失礼な。新作を試してみてくださいとお願いしただけではありませんか」
 ほかほかと湯気を立てている『銀色のコーヒー』を前に、稼働三十余年のアンドロイドは満面の笑みを浮かべている。
「心配なさらずとも、数値上は美味なはずです」
「お前の味覚センサーは信用できない!」
「ええ。だからあなたの味見が必要なのですよ。我が主」
 半人前のスパイと旧式アンドロイド。足してようやく一人前というわけだ。
Twitter300字SS」 第三十九回「試す」


 空想工房会誌「カケラ Vol.02」に出した「彼の右腕」より、『主』とアンドロイドの小話。
 アンドロイドの彼は喫茶店のマスターを長年やっていたわけですが、新しい豆や焙煎方法を試したい時は、常連さんが犠牲味見役になってたんでしょうね(^^ゞ
 味覚センサーを新しいものに載せ換えればいい話なのですが、何せ旧型のため現行のパーツと互換性がなく、フルオーダーメイドになるため、保留にしているようです。
2018.02.03

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