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あとがき

 「Farn World Adventure 子守歌を歌おう」、お楽しみいただけましたでしょうか?
 この作品が、幻想世界ファーンの小説として初めて人目に触れた作品となります。とはいえ掲載されたのはできたてほやほやの文芸サークルの第一回会誌で発行部数はわずか二十冊ほど。しかもサークルは第一回会誌が出た辺りで空中分解の兆しが見え始め、第二回会誌の発行を以てあえなく解散となりました。故に、本来ならもっと長く続くはずだった話が第二回で打ち切りになり、強引に話の方向を変えて終わらせたという、なんとも不憫な作品だったりします(^^ゞ
 これまで何度か改稿を試みたんですが、引越し等で元原稿どころか掲載された会誌まで紛失したりと、どうにも不幸続きで(^^ゞ 
 しかし、先日ワープロのFDの中に原稿が途中まで残っているのを発見し、続いて押入れの中から後半の印刷原稿が出てきまして、ようやく日の目を見ることとなりました。

 掲載にあたり、誤字脱字の修正や原稿欠落部分等の補完は行いましたが
(2005.08.31追記・引越後に会誌を発見したので、補完部分を会誌掲載版に差し替えました)、それ以外にはほとんど手を加えておりません。今読むと、文章の余りの未熟さ、素っ気なさに涙が出ますが、そう感じるということは少しは成長している、ということ、ですよね? ね(^^ゞ

 なお、初期作品のため、現在確立されている「幻想世界ファーン」とは地理や文化、歴史も多少異なります。なのでこれは正史には入りません。
 もともと考えていたお話では、ルナはとある王国の王女様がとある事情で周囲に内緒で生んだ子供で、誰かに命を狙われており、たまたま城を訪れた吟遊詩人ライカがそれを託されて、遠く離れたところにいる父親を探しに行く、というような内容でした。だから二人の子供ではなかったし、ライカの肩の傷は追っ手と一戦交えた時に受けた傷で、サミュエルはただ単に昔のよしみで同行しただけだったんです。当然、二人が結婚する予定など前半を書いている時にはまるでなく、まさかこんな落ち着き方をするとは思っていませんでした(笑)

 ちなみに、冒頭部分、「でんたま」にも登場する「エスタス」なる人物が出てきてますが、あのエスタスとは別人です(^^ゞ
 実はもともと、この「エスタイン王国」を舞台にしたお話があって、その登場人物の中に、「楽師ライカ」や「神官サミュエル」らに混じって「剣士エスタス」というキャラクターがいたんです。
 その話は結局お蔵入りとなったものの、設定だけは残ったまま月日が流れ、「でんたま」執筆中に冒険者三人組の設定が出来上がって、剣士の名前はどうしようかなー、と思っていたところに、「そういえばエスタイン(の話)にこんな感じの剣士がいたなあ」と思い、エスタスという名を引っ張ってきたわけです。
 ちなみにサミュエルは「カイトが憧れていた歴史の先生」という設定で、去年の「五周年企画・あれこれ質問BBS」にちょろっと登場していたりします。ついでに言うと、「ファーンの歴史」に登場するリーザの子孫だったりもします。こういう細かい設定を作るのが好きなんですよー(^^ゞ

 そして最後に登場する魔術士リファールは、もちろん「金の魔術士」リファです。見事な皆勤賞です(笑)
 リファは「魔法大国ルーンの遺物」のうち人体や周囲に悪影響を及ぼすようなものを消して回っています。それがリファの、せめてもの罪滅ぼしなのかもしれません。

2005.05
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