遠方から訪ねてきた従兄弟達と、追いかけっこをしたり隠れん坊をしたり。普段は大人しい松来家の子供達も、こういう時ばかりは年相応にはしゃいでみせる。
「旦那様」
一緒に遊んでいたお手伝いの
「どうした?」
「坊ちゃま達が影踏み鬼をしたいと仰っているのですが……」
私はその、と言葉を濁す文。そう、文は松来家に憑いた地縛霊。実体のない姿は影を落とさない。
「それなら、これを」
手渡したのは朱塗りの傘。
「これなら文も遊べるだろう」
「名案です、旦那様!」
嬉しそうに傘を差し、中庭へと駆けていく。
やがて、数を数える声が聞こえたあと、弾けるような歓声が湧き起こった。