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Prologue
 《LUNA-01》は、月で唯一のコロニーだ。
 直径15kmのドーム型をしたその建築物の中には、都市が丸ごと一つ収まっている。
 いや、その言い方は適切ではない。
 宇宙暦573年現在、月はとある財閥の所有地だった。勿論、その上に建っているコロニーも含めて。
 ゼロが果てしなく並ぶような金額を地球政府にポンと出し、月の所有権を手に入れたその財閥の名は『竹ノ内財閥』。銀河に並ぶものない大財閥であった。
 竹之内財閥はいとも容易く月を手にいれると、そこに巨大なコロニーを建設し、《LUNA-01》と名づけた。
 そして、財閥本社をはじめとするグループ各社の本社ビル、工場、研究施設その他全てを《LUNA-01》に移転させ、家族、親戚、社員とその家族、その他諸々を引き連れて月に移り住んだのである。
 《LUNA-01》にはその他にも、住宅街、病院、銀行、商店街、学園、プールや体育館、遊園地からゲームセンターなど、ありとあらゆる施設が揃い、都市機能は他惑星の都市に引けを取らない。
 コロニー都市は財閥関係者以外にも広く解放されており、一般人の移住も着実に増加している。

 《LUNA-01》が完成してから六年。既に人口は十万を突破し、今もなお増加し続けている。
 それもこれも、月の所有とコロニー建設における、竹之内財閥の無謀とも言える巨額投入のなせる業であろう。
 何故、大金をはたいてまで月を手に入れたのか? 月を購入した当時、そんなマスコミの質問に、財閥総帥である竹之内剛造氏は笑顔でこう答えたという。

「孫が月を欲しがりまして」



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