* 暴走ケーキ *



ぐつぐつことこと ベリーを煮たら
シャカシャカ がしがし クリームたてて
ふんわりスポンジには ないしょの隠し味
銀色アラザン ふりかけて
特製ケーキの出来上がり

「あら、なに作ってんの? 今日のオヤツ?」
「ハロウィンに配るお菓子の試作品ですわ〜」
「あー、そっか。そろそろよね。私も仮装を考えないと」
「さあ、最後の仕上げは魔法の呪文ですわ〜」

ちちんぷいぷい
えいっ☆

『ぼんっ』

『緊急事態発生。家庭科室でケーキの大群が暴走。現在南校舎2階の廊下を北上中』
『南校舎の生徒は至急、ケーキを捕獲してください』

「あらあら、どうしましょう」
「ちょっとユラ! なにやってんのよ!!」
「元気が出るおまじないを少々〜」
「ケーキを元気にしてどうすんのよ!」

「うえぇ、廊下がケーキで埋まってる……」
「捕獲しろって言われたけど、これ食って大丈夫なのかなあ?」
「や、やめた方がいいんじゃないかな……」

「おかしいですわね〜。どうして増えちゃったんでしょう〜??」
「問題はそこじゃないでしょーがっ!」

「おい、どうすんだよこのケーキ」
「勿体ないから、カフェの方で何とかしてもらいましょうか」

『ハロウィン特製 暴走ケーキ試食会 開催中』

「あの……誰も気味悪がって食べてくださらないんですが、この大量のケーキはどうしたら……?」
「たべるたべる〜♪ るふぃーり、ぜーんぶたべる〜♪」




 手足の生えたカップケーキなんて誰も食わんだろうなあ、そりゃ……。
 結局、幼等部のおやつとして、園児たちのお腹に納まった模様です。お腹を壊さなかったか、ちょっと心配。

2007.10.21



<<>>