目を開ければ、いつもの天井。
白く揺れるカーテンの向こうには、緑の丘と青い海。
世界はいつだって活気に満ち溢れているのに、私は寝台から起き上がることすら出来なくて。
ああ、それならせめて。
夢の中では、自由に走り回れたらいいのに。
どんなに駆けても苦しくなくて、どこまで遠出しても怒られたりしない。
丘を越え、街を越え。港を越え、海さえも越えて。
世界の果てまでだって、きっと行けるだろう――。
「どうしたんだよ、思い出し笑いなんかして」
「いえ、小さい頃に見ていた夢を思い出したのです」
この街は、世界の果てにあって。
誰とでも話せて、どこまでも行けて。
毎日が幸せで。
まるで覚めない夢の中にいるようだと、時々思うのです。