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星粒リーフパイ・燐光
 夕食後、紅茶に添えられた小さなパイに、おや、と目を細める店主。
「どうしたの、これ」
「パン屋さんの新作だそうです」
「へえ、美味しそうだね」
 意外にも甘いものに目がない店主は、嬉々としてパイに齧りつき――。

「ユージーン! 体が光っているのです」
「あれ、ほんとだ」
 ほのかな燐光を纏い、のほほんと笑う店主。
「あはは、面白いねえ」
「おっさん! 『面白い』の一言で済ませるな!」
 思わず突っ込むオルトの口にパイの欠片を放り込み、やがて光り出す彼を見て、満足げに微笑む。
「今年、うちで配るのはこれにしようよ」
「……大丈夫でしょうか」

 そして《星祭》前夜、街のあちこちで光る『悪戯妖精』が目撃され、人々の度肝を抜くこととなる。

 こちらは第6回 Text-Revolutions内有志企画「300字SSポストカードラリー」参加作品。
 五回目となる今回のお題は「お菓子」でした。
 表面の結果がこちら。パン屋の髭親父の企みに見事乗せられたユージーンですが、動じないあたりがさすがというか……。  そしていつもとばっちりを食うオルト君でした。
2017.11.14


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