彼女の故郷では、冬至の夜に聖者がやってくるという。
いい子には贈り物。悪い子にはお仕置きを。
贈り物を待ち望む子供達は神妙な面持ちで家の手伝いに精を出す。
「この街には、そういった風習はないのですね」
そう呟く少女は、どこか寂しげで。
だったら何か贈って驚かせてやろうぜ、と息巻く友人の言葉に頷いたはいいものの、何を贈ればいいか見当がつかず、秘密の作戦会議は小一時間も続いている。
「人形は?」
「人形に人形やってどうすんだよ!」
「まったく……全部聞こえているのですよ」
白熱する議論に苦笑を漏らしつつ、とっておきの茶菓子を追加する。
「二人とも、お茶が入りましたよ」
慣れないことで頭を悩ます二人に、せめてもの労いを。