そこは、まるで星屑が降り注いだような街だった。
淡い光を放つ街灯に照らされて、青く浮かび上がる坂の街。
街がそのまま星空に繋がっているような、そんな錯覚さえ覚えて、思わず「ここなら星に手が届きそうだ」なんて柄にもない言葉を口走れば、点灯夫がにやりと笑った。
「ああ、そうさ。この街でなら星に手が届く」
ほれこの通り、と長い棒の先に街灯の先端を引っかけて、新しいものと交換する。
「だいぶ弱っちまったが、紛れもなくこいつは星の光さね」
太陽光を溜め込んで夜に輝く星屑石。流れ星の涙とも呼ばれる青い鉱石を加工した角灯は、この街の特産品だ。
「あんたも一つどうだい?」
ここはひとつ、商売上手な点灯夫に乗せられてみようか。