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ライトスタッフ
 まったくもってついていない。魔術が暴走して足を怪我したばかりか、愛用の杖まで壊してしまった。
 腕の良い魔術士ならば杖がなくとも支障ないのだろうが、いかんせん集中力に欠ける私にとって、補助道具である杖は必需品だ。仕事のためにも新調するしかない。
 馴染みの魔術道具店へ駆け込み、間に合わせでいいから、と頼み込めば、訳知り顔の店主が出してきたのは――どこからどう見てもごく普通の青年。
「杖です。あなたを支えます。どうかそばに置いて下さい」
 真顔で懇願されても困ってしまう。どういうことかと視線を投げかけるも、老獪な店主は澄まし顔で沈黙を貫いている。
「……それじゃあ、ひとまず肩を貸してもらえる?」
「よろこんで!」
Twitter300字SS」 第四十一回「新しい」
 こちらは以前ツイッターで書いた#twnovelのリメイク。元は140字だったので、およそ倍になってます。
 タイトルは「Right Stuff(適任)」でもあり、「Light Staff(光の杖)」でもあり(笑)
 このあと、工房まで肩を貸してもらった魔術士は、「杖」だと主張する青年に身の回りの世話をしてもらうんじゃないかな、と(^^ゞ

 このお話は元々「世界樹の街」関連の話ではなかったのですが、こっちに組み込んだ方が色々書けて楽しいんじゃないかと思って、こっそり入れちゃいました(^^ゞ
 今後、もっと掘り下げて書けたらなあと思っています。


 ちなみに最初の140字版はこんな感じ。


 全くツイてない。術が暴走して足を怪我したばかりか、愛用の杖まで壊してしまった。
 新調すべく馴染みの店へ向かえば、出されたのは一人の青年。
『杖です。あなたを支えます。どうかそばに置いて下さい』
 真顔の懇願。店主も澄まし顔。
 …仕方ない。まずは怪我が直るまで使ってみようか。


 元はと言えば、とある小説家さんが足を怪我されて困ってらっしゃるツイートを見て『ああ、人間杖としておそばで支えたい』などと真剣に考えてしまったことから思いついたお話でして(^^ゞ
 私はチビで非力なので人間杖としては役に立たなさそうですが、この彼はきっと長身で力持ちなんじゃないかなー。
2018.04.11


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