らす☆だん ~Last Dungeon~ - 6/6

シナリオ

 鬱蒼とした森の中、青空を背にそびえ立つ巨大な塔。入り口辺りには怪しげな霧が立ちこめ、よく見えない。

『それは、最後の試練――』
『これまでに数多の勇者が挑み
 そして儚く散っていった……』

 タイトル『らす☆だん Last Dungeon』

 塔内部。石造りの廊下にひびく複数の足音。
A「ここで休憩しよう」
B「ああ、そうだな」
 廊下の片隅に座り込む少年少女。その服装や武器から、冒険者らしいことが窺える。
 剣士風の少年(A)
 神官風の少女(C)
 魔術士風の青年(B)
 盗賊風の少女(D)
 どの顔にも疲労の色が見え、装備はボロボロになっている。
C「それにしても……話には聞いてたけど、きついですね」
A「ああ、ホントにな」

 少年少女らの回想。

 廊下の向こうから転がってきた巨大な鉄球に追い掛け回される四人。
 宝箱を開けた途端に怪しげな煙に巻かれる四人。
 モンスターらしき影に挟み撃ちにされる四人。
 空き部屋らしき場所に篝火を焚き、交代で休む四人。

D「でも、あとちょっとで最上階だよ!」
B「そうだな。これで晴れて、俺達は――」

 和気藹々と喋る四人。その様子を水晶球で眺める一人の女性。いかにも悪役といった雰囲気の衣装に身を包み、面白そうに水晶を見つめている女性に、背後から声が掛かる。
召使い「長、そろそろ――」
 背後に佇む召使いに分かっている、と手を上げて、傍らの壁に立てかけてあった杖を掴む女性。
長「よし。行こう」
 マントを翻し、部屋を出て行く女性。水晶球には、休憩を終えて先に進もうとしている四人の姿が映し出されている。

 廊下を慎重に進む四人。その前に現れた、重厚な造りの巨大な扉。
 ごくり、と喉を鳴らす四人。
C「ここが、最後の――」
B「これでやっと、辛く苦しい毎日から解放されるんだ!!」
A「よし、行くぞ!!」
 扉にダッシュするA。一瞬遅れて続こうとしたDが、Aの足元に何か光るものを発見する。
D「いけないっ! あれはっ!」
A「え?」
 振り返った瞬間、ぐにっと怪しげなスイッチを踏んでしまうA。その瞬間、四人の足元がぱっくりと割れる。
四人「ぅわーーーーーー!!」
 奈落の底へと落ちていく四人。その声を聞きつけたように扉が開き、部屋の中央に据えられた玉座で頭を抱えている女性の姿があらわになる。
長「……未熟者め」
 おもむろに玉座に据えられた受話器様のものを取り上げる女性。次の瞬間、塔の内外に大音量で響き渡る声。
長『D班四名、追試決定―――!!!』

 塔の入り口付近で転がっていた四人が、その声を聞いてがっくりと肩を落とす。
A「またかよー!!」
C「だからあなたにリーダーなんて任せられないんですよっ!」
B「っていうか、あんなところに普通落とし穴作るか?」
D「もう、これで何度目~!?」

 そんな四人に、どこからか長の声が降ってくる。
長『ぼやいてる暇があったら攻略計画を立て直さんか』
 『そんなことじゃ、いつまで経っても一人前の冒険者になれんぞ』
四人「はぁ~い」

 再び塔の全景。

『それは、最後の試練――』
『これまでに数多の勇者が挑み
 そして儚く散っていった……』

 その入り口には、でかでかと「アルデバラン冒険者養成学校 卒業試験会場」の看板が。

四人「ちくしょう、次こそ卒業してやるー!!」

長「楽しみに待っているぞ、ひよっこども!」

『卒業試験は、まだまだ続く――』

『完』

 作者注・タイトルの「ダンジョン(dungeon)」はもともと「地下牢・土牢」を意味する単語ですが、ここでは「ロールプレーイングゲームやビデオゲームに登場する迷路状の構造物」という意味で使っています。