街案内:五番街 - 2/2

五番街の歴史

 ザナヴェスカは元々、希少鉱石である《魔晶石》を採掘する鉱山夫のために作られた居住区でした。近隣に《賢者の塔》の一つ《北の塔》が建設されてからは、魔晶石の発掘・加工だけでなく、魔法道具などを扱う工房や商店が現れ、現在の魔法街へと発展していきます。
 次第に魔晶石が採れなくなり、三百年ほど前に鉱山が閉鎖されてからは、魔術士やその関係者ばかりが集まるようになり、次第に隠れ里の様相を呈してきました。
 うわばみ通りが《世界樹の街》五番街として組み込まれたのは二百年ほど前。当時開発中だった《転送門》が偶然、一番街と繋がったことがきっかけです。その後、《門》を維持する技術が生み出され、獅子門として整備されました。
 以降は他の街区経由の観光客なども増え、賑わいを増しています。

五番街から見た《世界樹》

 五番街の世界樹は、天を突く巨大な針葉樹です。ザナヴェスカ北端の丘にそびえる巨木で、冬場でも葉が落ちることはありません。周囲を針葉樹林に囲まれたザナヴェスカですが、何故この木だけが飛びぬけて巨大なのかは分かっていません。
 ザナン鉱山に眠っていた大量の魔晶石に影響されて巨大化した、という説が有力視されており、採掘量と反比例して生育が緩やかになっていった、という記録も残されています。

番外編:街の外を歩こう

 ザナヴェスカは北大陸アイシャスの西部、ライラ国の山岳地帯にある小さな街です。周囲を山に囲まれており、街へと続く道は馬車一台がようやっと通れるほどの、細く険しい山道です。冬場は雪で通行止めになることもあります。

周辺の名所① 《北の塔》

 ザナヴェスカの北東、更に険しい山岳地帯に建つ《賢者の塔》です。五大陸にそれぞれ存在する《賢者の塔》は魔術士の養成・研究機関であり、常時二十人から五十人ほどの魔術士がそこで研鑽を積んでいます。
塔を束ねるのは《賢人》と呼ばれる存在で、その場所や時代によって人数が異なりますが、大概は三人から七人の賢人によって統治されています。
《北の塔》を率いる現在の賢人は《銀老》シグル、《北の魔女》アルメイア、《極光の魔女》ユリシエラの三名です。

周辺の名所② ザナン鉱山

 かつてザナヴェスカが鉱山の街だった頃の名残です。希少な魔晶石の鉱山として栄えましたが、三百年ほど前に閉山しています。崩落の危険がある区画は立ち入り禁止となっていますが、坑道の一部は酒や魔法薬の貯蔵庫として活用されています。また、坑道の奥深くに構えた研究室に籠り、ほとんど地上へ出てこない魔術士もいるようです。


Column:氷の宮殿

…《北の塔》より更に北、一年を通して氷雪に覆われた峻嶮イル・ファーレには、女神アイシャスの宮殿があると言い伝えられています。
アイシャスは水と美を司る女神として知られていますが、雪深い北大陸では氷雪の女神として祀られており、童話『六花の女王』は、氷の宮殿の伝承を元に描かれたと言われています。
     幻燈書房発行『《世界樹の街》の歩き方 ~五番街編~』より抜粋