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百年の刹那・風にとける花
 はらはらと舞う薄紅色の花びら。遥か頭上から降り注ぐそれは、地上に降り積もる頃には色と重みを失って、やがて風に攫われて消えていく。
 予告なく咲き、風にとける花。百年に一度、数時間しか咲かないという奇跡の花は、散り際まで神秘的だ。
「なんだかもったいないよなあ」
 二度とは見られぬ光景を見上げながら誰にともなく呟けば、ぐうたらエルフはそう? と笑みを零した。
「僕は好きだよ。この潔さ」
 いつもと変わらぬ笑顔が、なぜか胸に沁みる。
 彼もいつか、この花びらのように――誰にも気づかれず、まるで最初からいなかったかのように――消えてしまいそうで。
「あんたは消えるなよ」
 思わず口をついた言葉に、男はただ静かに笑うだけだった。

 こちらは「Twitter300字ss」(テーマ:散る)参加作。ちょうど、開催期間が第5回 Text-Revolutions内有志企画「300字SSポストカードラリー」と重なっていたため、お題が「桜」とリンクするものになっていました。

 百年に一度咲くという世界樹の花。贅沢な花見を楽しむ「垂れ耳エルフ」の面々。
 ぐうたらエルフことユージーンは超・長命種なので、この花を見るのも何回目だっけ、というレベル。一方、一緒に花を見上げている翼人のオルト君は短命種なので、「次」はもうありません。
 それなのに、オルトがユージーンの心配をするというのもおかしな話ですが(^^ゞ あのおっさんは気づくとしれっといなくなっていそうな気がするよな、と思ったらこんな話になりました(^^ゞ
 満開の桜も好きですが、はらはらと舞い散る桜吹雪の方が実は好きだったり。
 こぼれる刹那の美しさは、すぐに散ってしまう桜ならではですね。
 萎れる前に潔く、美しいまま散っていく。桜は、そんなところも好まれるのかもしれません。

 「百年の刹那」表面裏面も合わせてお楽しみくださいm(__)m
2017.11.15


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