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よるのとばりが おりたなら あおいやみに つばさ ひろげて ゆめの くにへ とびたとう どこまでも じゆうに どこまでも どこまでも…… 物悲しい旋律 たどたどしい歌声 裏路地に響き渡るそれは、あいつのお気に入り ウィニーが死んだ 夜明けを待たず、眠るように 近頃この辺りで流行っている熱病が、小さな命を奪っていった あまりにも、あっけなく 大人達は病を恐れて、近づくこともしなかった わずか数人の子供に看取られて、あいつは逝った かあちゃん、おうた そう、呟いて 最後の息を吐き出した、幼い子供 ――そいつをここに捨てていったのは、その母親だというのに 墓はなく 言葉もなく ただ、風の音だけが路地にこだまする 祈り方を知らない俺たちは、俯くしかなくて だから、歌った 声の限りに 夜の帳が下りたなら 青い闇に 翼広げて 夢の国へ 飛び立とう どこまでも 自由に どこまでも どこまでも 星の川を すり抜けて 月の背中を 蹴飛ばして あの太陽の、その先へ さあ、飛んでいこう 瞬く星々 きらめく螺旋 光と闇が あなたを抱く 夜の帳が下りたなら 青い闇に 翼広げて 夢の国へ 飛び立とう どこまでも 自由に どこまでも どこまでも…… 終☆
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