白猫魔法店には今日も様々な客が訪れる。転んでばかりの幼子には傷薬、節々が痛む老婆には湿布と煎じ薬――。
「うちは薬屋じゃないんだよ!」
ぷりぷり怒りつつもすべての注文に応えてみせるのは、放浪癖のある店主に代わって店を取り仕切る使い魔のペルル。彼女の作る薬は評判が良く、わざわざ遠方から買いに来る者もいるほどだ。
いっそ薬屋に鞍替えしようか、なんてぼやいたら、数ヶ月ぶりに帰還した店主は「いいわね、それ」と真顔で頷いた。
「冗談だってば。本気にしないでよ」
「分かってる。ペルルがこれ以上忙しくなったら私が困るもの」
呆れ顔の愛猫を抱き寄せ、艶やかな毛並みに顔を埋める。
「だって、ペルルは私専用の特効薬なんだから」