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prologue

 ここは『ファーン』。剣と魔法の世界
 水の女王アイシャスが造ったという、氷に包まれた北大陸
 情熱の舞姫パリーが造ったという、常夏の南大陸
 命の女神ガイリアが造ったという、豊鏡の地が広がる中央大陸
 暁の戦士ケルナが造ったという、山の連なる東大陸
 月詠みの巫女ルースが造ったという、平野が広がる西大陸
 どの大陸も、それを造った女神達の名で呼ばれ、様々な国があり、様々な種族が暮らしている

 東大陸ケルナ。暁の戦士、風を司る女神ケルナの名を掲げたこの大陸は、険しい山々が連なり、勇壮なる女神の姿を写し取ったかのようである。
 東大陸には人間の国と、背に翼を持つ『空人族』の国が、険しい山並みの中に点在している。
 その中の一つに、エスタイン王国という一つの国がある。
 百年の昔、まがまがしき『邪竜』を倒した勇者アーヴェル・エスタインが、その冒険仲間とともに創立した、小さな国である。
 このエスタインは、他の国にはない一つの特徴がある。それは、国民全員が冒険者、または元冒険者だということだ。
 もともと冒険者というのは、故郷を雛れて冒険を求めた人々であり、怪物を倒したり、悪党を倒したり、その外様々な仕事を引き受ける、『厄介事引き受け人』である。そんなわけだから、一般の人には受けが悪い。また、ほとんどが放浪の旅をしており、志し半ばで倒れる者も数多い。
 あの勇者アーヴェルもそんな冒険著の一人であり、彼らの苦労を知っている。
 そんな彼が勇者の称号を得て、最初に思い立ったことが、自分が称号とともにもらった土地に、冒険者の為の国を作ることだった。
 そして、それから百年。エスタイン王国は世界に名だたる冒険者の国となり、そして、この国のもう一つの特徴である『エスタイン王立学園』も、その名を世界に響かせていた。

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