一輪の花
北国の春は遅い。冬枯れの庭園からはようやく雪が消えたものの、水墨画のような淡い色合いのまま、ひっそりと息を潜めている。 とはいえ、庭師にとってはこれからが忙しい。施肥や剪定、害虫駆除から植え替えまで、花の季節を前に、やることが山積みだ。 …
ファンタジー小説 伝説の卵神官シリーズ 小説 極光王国綺譚
氷雪の女王
冷酷無比な《氷雪の女王》。その冷笑を目にした者は一様に凍りつき、ただ慈悲を願うしかない――。 そんな噂が流れるのも無理はない。即位したその日に大臣数人の首を挿げ替え、何百人もいた使用人を大量に解雇した。怜悧な美貌とは裏腹に、その魂は質実剛…
ファンタジー小説 伝説の卵神官シリーズ 小説 極光王国綺譚
秘密の庭
茨に守られた扉の向こう、光溢れる小さな庭で、今年も君は泥だらけになって笑う。 水溜まりに映るその眩い笑顔は、僕だけの宝物。「ねえ、かくれんぼしましょ」「ダメだよ、まだ剪定が終わってないんだから」「今日は私と遊ぶ約束でしょ」 二人だけの秘密…
ファンタジー小説 伝説の卵神官シリーズ 小説 極光王国綺譚
金冠鳥の囁き
質実剛健を絵に描いたような謁見の間で、若き女王は受け取ったばかりの依頼品を手に、満足げに唇の端を引き上げた。「うむ。さすがは『北の塔』謹製の封印球だ。うちの宮廷魔術士はどうにも魔具の作成が苦手でな。長時間の使用に耐える封印球を作れないのだ…
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三月姫の誕生会
1『三月姫の誕生会がしたいの!』 そう駄々をこねて周囲を困らせたのは、確か五歳の誕生日直前のことだった。 それは、十二人のお姫様がそれぞれの生まれ月に誕生会を行うという御伽噺。季節ごとに趣向を凝らし、夏の夜空に花火を打ち上げ、冬は氷の宮殿で…
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Secret Garden
1 氷の城と白亜の姫 茨に守られた扉の向こう、光溢れる小さな庭で、今年も君は泥だらけになって笑う 二人だけの秘密の庭で、短い夏を謳歌するように―― 初めて連れて来られた王城は、真冬だったせいもあって、まるで御伽噺に出てくる『氷のお城』のよう…
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