永遠の微笑み
倉庫の大掃除中、ガラクタの山の向こうで微笑んでいたのは、黒髪の美女を描いた肖像画。 紫水晶を削り出したような双眸。雪花石膏の如き白く滑らかな肌。時代遅れの長衣すら魅力的に着こなして、挑戦的な微笑みを浮かべる美女には、何故か見覚えがあった。…
ファンタジー小説 伝説の卵神官シリーズ 小説 極光王国綺譚
あなたの傍に
『ねえ、あれが欲しいわ』 小さな手が指し示す先には、光る粒が詰まった小瓶。なんでも《極光の魔女》の新商品らしい。「こんなの買ってどうするつもりだ」『これがあれば、夜でも傍にいられるじゃない』 光の精は闇の中で存在することが出来ない。裏を返せ…
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甘い星粒
ぽわん、という気の抜けた音とともに、部屋中に広がる甘い香り。「できましたわ~!」 喜びの声を上げる《極光の魔女》。満足げに見つめる大釜の中は何やらキラキラと光っている。「ハル君」「はい?」 振り返った少年の口に、ぽんと放り込まれた小さな粒…
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記録
復活歴138年 四の月十二日 晴れ 今日、塔に新入りさんがやってきました。ライラ国の貴族、ヴァイス男爵家の三男レオンハルト・アルトゥール=ヴァイス君。年齢は14歳だそうです。金髪に青い瞳の、いかにも貴族然とした風貌の持ち主ですが、話してみる…
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純白のドレス
お姫様は純白の花嫁衣装を着て、愛しい王子様のもとに嫁ぎ、二人は末永く幸せに暮らしたのでした。めでたしめでたし。 そんな童話の結末をこよなく愛していた彼女――世継ぎの姫ライラ・ロジーナが戴冠式のために選んだのは、まさにその『純白のドレス』だ…
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戴冠式
彼女が選んだのは、純白のドレス。「私は国家と結婚するのだ。ならば白こそ、最も相応しい色だろう?」 雪深き北の小国。病に伏した父の後を継ぎ、天鵞絨の王座に就くことになった姫は、女官達を前に紅唇を引き上げる。「姫様の花嫁姿を見るのが夢だったと…
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一輪の花
北国の春は遅い。冬枯れの庭園からはようやく雪が消えたものの、水墨画のような淡い色合いのまま、ひっそりと息を潜めている。 とはいえ、庭師にとってはこれからが忙しい。施肥や剪定、害虫駆除から植え替えまで、花の季節を前に、やることが山積みだ。 …
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氷雪の女王
冷酷無比な《氷雪の女王》。その冷笑を目にした者は一様に凍りつき、ただ慈悲を願うしかない――。 そんな噂が流れるのも無理はない。即位したその日に大臣数人の首を挿げ替え、何百人もいた使用人を大量に解雇した。怜悧な美貌とは裏腹に、その魂は質実剛…
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秘密の庭
茨に守られた扉の向こう、光溢れる小さな庭で、今年も君は泥だらけになって笑う。 水溜まりに映るその眩い笑顔は、僕だけの宝物。「ねえ、かくれんぼしましょ」「ダメだよ、まだ剪定が終わってないんだから」「今日は私と遊ぶ約束でしょ」 二人だけの秘密…
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金冠鳥の囁き
質実剛健を絵に描いたような謁見の間で、若き女王は受け取ったばかりの依頼品を手に、満足げに唇の端を引き上げた。「うむ。さすがは『北の塔』謹製の封印球だ。うちの宮廷魔術士はどうにも魔具の作成が苦手でな。長時間の使用に耐える封印球を作れないのだ…
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三月姫の誕生会
1『三月姫の誕生会がしたいの!』 そう駄々をこねて周囲を困らせたのは、確か五歳の誕生日直前のことだった。 それは、十二人のお姫様がそれぞれの生まれ月に誕生会を行うという御伽噺。季節ごとに趣向を凝らし、夏の夜空に花火を打ち上げ、冬は氷の宮殿で…
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Secret Garden
1 氷の城と白亜の姫 茨に守られた扉の向こう、光溢れる小さな庭で、今年も君は泥だらけになって笑う 二人だけの秘密の庭で、短い夏を謳歌するように―― 初めて連れて来られた王城は、真冬だったせいもあって、まるで御伽噺に出てくる『氷のお城』のよう…
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