ファンタジー小説

ファンタジー作品を集めました!

甘い星粒

 ぽわん、という気の抜けた音とともに、部屋中に広がる甘い香り。「できましたわ~!」 喜びの声を上げる《極光の魔女》。満足げに見つめる大釜の中は何やらキラキラと光っている。「ハル君」「はい?」 振り返った少年の口に、ぽんと放り込まれた小さな粒…

記録

復活歴138年 四の月十二日 晴れ 今日、塔に新入りさんがやってきました。ライラ国の貴族、ヴァイス男爵家の三男レオンハルト・アルトゥール=ヴァイス君。年齢は14歳だそうです。金髪に青い瞳の、いかにも貴族然とした風貌の持ち主ですが、話してみる…

戴冠式

 彼女が選んだのは、純白のドレス。「私は国家と結婚するのだ。ならば白こそ、最も相応しい色だろう?」 雪深き北の小国。病に伏した父の後を継ぎ、天鵞絨の王座に就くことになった姫は、女官達を前に紅唇を引き上げる。「姫様の花嫁姿を見るのが夢だったと…

一輪の花

 北国の春は遅い。冬枯れの庭園からはようやく雪が消えたものの、水墨画のような淡い色合いのまま、ひっそりと息を潜めている。 とはいえ、庭師にとってはこれからが忙しい。施肥や剪定、害虫駆除から植え替えまで、花の季節を前に、やることが山積みだ。 …

氷雪の女王

 冷酷無比な《氷雪の女王》。その冷笑を目にした者は一様に凍りつき、ただ慈悲を願うしかない――。 そんな噂が流れるのも無理はない。即位したその日に大臣数人の首を挿げ替え、何百人もいた使用人を大量に解雇した。怜悧な美貌とは裏腹に、その魂は質実剛…

秘密の庭

 茨に守られた扉の向こう、光溢れる小さな庭で、今年も君は泥だらけになって笑う。 水溜まりに映るその眩い笑顔は、僕だけの宝物。「ねえ、かくれんぼしましょ」「ダメだよ、まだ剪定が終わってないんだから」「今日は私と遊ぶ約束でしょ」 二人だけの秘密…

Secret Garden

1 氷の城と白亜の姫 茨に守られた扉の向こう、光溢れる小さな庭で、今年も君は泥だらけになって笑う 二人だけの秘密の庭で、短い夏を謳歌するように―― 初めて連れて来られた王城は、真冬だったせいもあって、まるで御伽噺に出てくる『氷のお城』のよう…