純白のドレス
お姫様は純白の花嫁衣装を着て、愛しい王子様のもとに嫁ぎ、二人は末永く幸せに暮らしたのでした。めでたしめでたし。 そんな童話の結末をこよなく愛していた彼女――世継ぎの姫ライラ・ロジーナが戴冠式のために選んだのは、まさにその『純白のドレス』だ…
ファンタジー小説 伝説の卵神官シリーズ 小説 極光王国綺譚
戴冠式
彼女が選んだのは、純白のドレス。「私は国家と結婚するのだ。ならば白こそ、最も相応しい色だろう?」 雪深き北の小国。病に伏した父の後を継ぎ、天鵞絨の王座に就くことになった姫は、女官達を前に紅唇を引き上げる。「姫様の花嫁姿を見るのが夢だったと…
ファンタジー小説 伝説の卵神官シリーズ 小説 極光王国綺譚
一輪の花
北国の春は遅い。冬枯れの庭園からはようやく雪が消えたものの、水墨画のような淡い色合いのまま、ひっそりと息を潜めている。 とはいえ、庭師にとってはこれからが忙しい。施肥や剪定、害虫駆除から植え替えまで、花の季節を前に、やることが山積みだ。 …
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氷雪の女王
冷酷無比な《氷雪の女王》。その冷笑を目にした者は一様に凍りつき、ただ慈悲を願うしかない――。 そんな噂が流れるのも無理はない。即位したその日に大臣数人の首を挿げ替え、何百人もいた使用人を大量に解雇した。怜悧な美貌とは裏腹に、その魂は質実剛…
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秘密の庭
茨に守られた扉の向こう、光溢れる小さな庭で、今年も君は泥だらけになって笑う。 水溜まりに映るその眩い笑顔は、僕だけの宝物。「ねえ、かくれんぼしましょ」「ダメだよ、まだ剪定が終わってないんだから」「今日は私と遊ぶ約束でしょ」 二人だけの秘密…
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金冠鳥の囁き
質実剛健を絵に描いたような謁見の間で、若き女王は受け取ったばかりの依頼品を手に、満足げに唇の端を引き上げた。「うむ。さすがは『北の塔』謹製の封印球だ。うちの宮廷魔術士はどうにも魔具の作成が苦手でな。長時間の使用に耐える封印球を作れないのだ…
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三月姫の誕生会
1『三月姫の誕生会がしたいの!』 そう駄々をこねて周囲を困らせたのは、確か五歳の誕生日直前のことだった。 それは、十二人のお姫様がそれぞれの生まれ月に誕生会を行うという御伽噺。季節ごとに趣向を凝らし、夏の夜空に花火を打ち上げ、冬は氷の宮殿で…
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Secret Garden
1 氷の城と白亜の姫 茨に守られた扉の向こう、光溢れる小さな庭で、今年も君は泥だらけになって笑う 二人だけの秘密の庭で、短い夏を謳歌するように―― 初めて連れて来られた王城は、真冬だったせいもあって、まるで御伽噺に出てくる『氷のお城』のよう…
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SS・影踏み鬼
休日の庭に、子供達の笑い声が響く。 遠方から訪ねてきた従兄弟達と、追いかけっこをしたり隠れん坊をしたり。普段は大人しい松来家の子供達も、こういう時ばかりは年相応にはしゃいでみせる。「旦那様」 一緒に遊んでいたお手伝いの文ふみが、困り顔で戻…
SS 小説 松和荘へようこそ! 現代もの
SS・白昼夢
はらはらと舞い降りる薄紅色の花びらに、在りし日の思い出が重なる。 土手の桜並木が綺麗だからと、買い物帰りに寄り道をして。 春の嵐に髪を乱されながら、舞い踊る桜吹雪にはしゃぐ彼女。 川面を流れる花筏を見つめる横顔が随分と大人びていることに、…
SS 小説 松和荘へようこそ! 現代もの
SS・外套
松来家の庭には立派な倉がある。 現在も正しく倉として使われているそこには、骨董品から季節用品までありとあらゆるものが収蔵されており、天気の良い日には虫干しなども行われている。「まあ、懐かしいものが出てきましたわ」 そう言って文ふみさんが引…
SS 小説 松和荘へようこそ! 現代もの
SS・夕涼み
中庭に縁台を並べ、蚊取り線香を焚く。 大量に茹でた枝豆とトウモロコシは笊ざるのまま縁側に並べ、氷水を張った盥たらいにはビールとジュースをセットした。 台所の冷蔵庫では、大玉の西瓜が出番を待ち侘びている。 ようやく涼しくなってきた風が軒先の…
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