SS・祭りのあと ~六番街・裏参道~
祭のあとは、いつだって物悲しい。 解体されていく櫓や屋台。潮が引くように薄れゆく賑わい。「寂しいかの?」 誰かが落とした狐のお面を拾い上げ、幼女の姿をした神様は、紅い袖を翻す。「終わりがあるから、また始まるんじゃ。だから――」 また来年、…
垂れ耳エルフと世界樹の街 小説 現代もの
SS・おやつ ~六番街・稲荷社~
横丁のお稲荷さんに新作菓子を供えると大ヒットするらしい。 そんな噂を信じるわけでもないが、業績が伸び悩んでいる今、神頼みもありかもしれない。「ほう、新作じゃな。どれどれ、うん、美味い!」「……まさか、おやつ欲しさに自分で噂を流したんじゃな…
ファンタジー小説 小説 現代もの
SS・坂道 ~六番街・寝返り坂~
学校へと向かう急勾配の坂道は「寝返り坂」と呼ばれている。「こうなると登校っていうより登山だよな」「確かに」 昔から、やけに坂の多い町だとは思っていた。地名にも坂がつくものが多いし、高校名には丘の字が入っている。「なんでこうも坂だらけなのか…
垂れ耳エルフと世界樹の街 小説 現代もの
SS・金木犀 ~六番街・喫茶『三日月』~
オレンジ色の香りがふわりと鼻腔をくすぐる。 周囲を見渡しても、それらしき花は見当たらなくて。 つい探し回っていたら、見事に遅刻してしまった。「それは『幻の金木犀』だね」 ゆめみの町・七不思議の一つだと語るマスター。「……金木犀って元からそ…
垂れ耳エルフと世界樹の街 小説 現代もの
SS・神隠し ~六番街・ゆめみの不動産~
「ガラクタ横丁で迷子?」『そうなんだよ。商店街のみんなで探しちゃいるが、どこにも見当たらない。手を貸してくれ!』 そんな一報を受けて店を飛び出していった道端さんは、数時間後に男の子を連れて戻ってきた。 一体どこに隠れていたのか、二人とも土埃…
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SS・かぼちゃ ~六番街・松和荘~
食堂のテーブルにズラリと並ぶのは、かぼちゃのグラタンにシチュー、煮付けにコロッケ――。「八百屋さんからいただきまして」 松和荘に大量のかぼちゃを持ち込んだ客人は、いやあ助かりましたと頭を掻く。 数日遅れのパーティに、飾りつけのかぼちゃジャ…
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SS・屋上 ~六番街・夢ヶ丘高校~
――ない。やはり、ないのだ。 校舎の屋上から見渡しても、やはりどこにも見当たらない。 あの日、赤い着物の女の子に手を引かれて歩いた、一本道の突き当たり。 路地裏にそびえる古木と、その根本にある古いお稲荷さん。 「またね」の約束を、僕は未だ…
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コンノさんと今野さん、そして私 ~放課後綺談3~
一、桜並木 夢を見ていた。 不思議な夢だ。 桜並木の向こうで、コンノさんが手を振っている。 何か言っているのに、吹き抜ける風の音がうるさくて聞こえやしない。 舞い踊る桜吹雪。薄紅色に染まる視界。 胸騒ぎがして、咄嗟に手を伸ばす。「コンノさん…
コンノさんと私 ~放課後綺談~ 小説 現代もの
閑話・狐面は極彩色の夢を見るか?
「こんちわーっす」 勢いよくドアを開ければ、途端に聞こえてくる電子音。「やあ、本嶋くん」 テレビから視線を外すことなく、それでも声だけで的確にこちらの正体を見破ったその人は、小さな画面の中で縦横無尽に飛び回る戦闘機を操りながら「今日は早かっ…
コンノさんと私 ~放課後綺談~ 小説 現代もの
コンノさんと冬コミ ~放課後綺談2~
一、開場 開会を告げるアナウンスに応え、まるで潮騒のように会場から湧き上がる拍手の嵐。 遥か彼方で人の波が動き出すのを背伸びして眺めていると、右隣から「あれ? 開かないなあ。えい、この」などという緊張感のない声が響いてくる。「椅子、壊れてま…
コンノさんと私 ~放課後綺談~ 小説 現代もの
番外編・コンノさんと部室 ―活動限界を探れ!―
遠くから午後5時を告げる夕焼け小焼けのメロディーが流れてきて、それまで雑談に興じていた部員達が三々五々と散っていく。 漫研の部活動時間は特に定められていないが、大抵は4限終了と共に部室へ集まり、この『夕焼け小焼け』で解散となるのが常だ。「…
コンノさんと私 ~放課後綺談~ 小説 現代もの
コンノさんと私 ~放課後綺談~
一、新学期 コンノさんと出会った日のことは、はっきりと覚えている。 あれはグラウンド沿いの桜が満開だった、四月のこと――。「ここで……いいのかな?」 グラウンドと体育館の間に挟まれた、四階建てのクラブハウス。 勧誘期間を過ぎてしまったから、…
コンノさんと私 ~放課後綺談~ 小説 現代もの