SS・あなたのための一杯を ~喫茶『小夜啼鳥』
書きたい文章がある。綴りたい物語がある。それなのに、いざペンを握った瞬間、何が書きたかったのか分からなくなってしまう。 気分転換でもしてきたら、と友人に紹介されたのは、噂の樹上喫茶店『小夜啼鳥』だった。 夕闇を背に縄梯子をよじ登れば、小さ…
ファンタジー小説 垂れ耳エルフと世界樹の街 小説
SS・うさ耳印は幸せのしるし
いらっしゃいませ! はい、文房具売り場はこちらです。以前は窓口で扱っていたんですけど、好評につき専用の売り場が出来たんですよ。 定番のレターセットから限定の切手、それに最近は羽ペンやインク壺、封蝋まで出たんです! ええ、人気の『うさ耳印』…
ファンタジー小説 垂れ耳エルフと世界樹の街 小説
SS・そらとぶゆめ
鳥になった夢を見た。潮風を翼に受けて、空と海の境界線をなぞるように飛ぶ。ああ、このままどこまでも行こう。煌めく波の向こう、海の彼方――誰も辿り着いたことのない世界の果てまでも。根拠のない自信を抱いて翼をはためかせれば、あざ笑うかのように波が…
ファンタジー小説 垂れ耳エルフと世界樹の街 小説
SS・小夜啼鳥の囁き
静かな夜だ、と呟く声がいやに響く。そのくらい静かな夜だった。「閑古鳥も鳴かない、と来たもんだ」「代わりに鴎が鳴いてるんだ、帳尻は合ってるってもんさ」 店主の皮肉めいた返答に、ふんと鼻を鳴らす。「常連客は大切にするもんだぞ」「何が常連だ。月…
ファンタジー小説 垂れ耳エルフと世界樹の街 小説
街案内:一番街
一番街は《世界樹の街》の中で最も広く、そして最も古い街。旅人が最初に足を踏み入れる街でもあることから、『始まりの街』とも呼ばれています。 《白羊門》と呼ばれる正門は陸路の玄関口。朝から晩まで旅行者や荷馬車が行き交っています。 街は正門広場…
垂れ耳エルフと世界樹の街
spin off:ほしをみるもの
幾つもの丘を越えて、馬車は行く。 目指すは世界の果て、青く霞む世界樹と、その足元に広がる街。 そう、人はそこを『世界樹の街』と呼ぶ。1.白羊門 白い石造りの門を潜り抜けようとした途端、門兵に止められた。「すみません、通行許可証と身分証の提…
ファンタジー小説 垂れ耳エルフと世界樹の街 小説
spin off:仕立屋ディミアナの信念
駆け込み依頼:初代の仕立てた祭礼服の補修「明日の朝までに繕つくろって欲しいんだけど」 閉店間近に舞い込んだのは、繕い物の依頼だった。 濃緑の布地を贅沢に使った、年代物の祭礼服。 タグを確認するまでもない、間違いなく祖母の仕立てた服だ。「脇と…
ファンタジー小説 垂れ耳エルフと世界樹の街 小説
column:《世界樹の街》の歩き方
~はじめに~ ようこそ、《世界樹の街》へ! ここは時空を超えて“様々な世界に存在する《世界樹の街》が 繋がる”不思議な場所。あちこちから集まった多種多様な種族が暮らしています。 街区の境を一歩越えるとまるで違う街並みが広がっており、そびえ立…
ファンタジー小説 垂れ耳エルフと世界樹の街 小説
皿の話
「どうもー。《垂れ耳》のおじさん、いるー?」 賑やかな声と共に開いた扉。そこからひょい、と顔を覗かせた同僚の姿に、空いた食器を下げようとしていたオルトは露骨に顔を顰めた。「ジャック。お前、今日は非番だったはずだろ。なんでこんなところにいるん…
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百年の刹那
コンコン コンコン「うっせー……」 夢の中まで響いてきたノックの音に飛び起きたものの、部屋はまだとっぷりと暗く、まだ夜も明けきっていないと悟って溜息を吐く。 独身寮から越してきて一月ひとつき、ようやく一人暮らしにも慣れてきたところにこれだ…
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星祭
「《星祭》?」 チラシを手に小首を傾げる銀髪の少女に、《鴎》のオルトは「ああ、そうか」と頬を掻いた。「そういやお前、この街に来て一年も経ってないんだっけか」「私をここに連れてきたのはオルトですよ。もう忘れてしまったのですか」「うっせえ」 『…
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垂れ耳エルフと世界樹の街 ~樹木の陰で~
樹木の陰で ~Ombra mai fù~風薫る正午はじめてのお給料・1はじめてのお給料・2はじめてのお給料・3閑話・微睡みの夕べ閑話・安らぎの場所継ぎ接ぎの空・1継ぎ接ぎの空・2継ぎ接ぎの空・3継ぎ接ぎの空・4風薫る正午 青葉揺れる頃、と表…
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