SS・迷路の街
迷う、迷う、迷う――。 これはもう、ボクが方向音痴だからとか、初めて来たからだとか、そんなレベルの話ではない。 噂に聞く《迷路の街》は、まさかの『一定時間ごとに区画がシャッフルされる』街だった。 やれ古代文明の遺産だとか、やれ異世界からも…
SS ファンタジー小説 垂れ耳エルフと世界樹の街 小説
SS・墓標
世界樹の根本には、かつて村があったという。 それは遠い遠い昔話。いまや集落の痕跡もなく、残っているのは苔むした墓石が幾つか。それだけだ。「名前も残されていないのですね」「墓が残ってるだけいいんじゃないか? 俺達には墓すらないからな」 から…
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SS・隙間 ~時空間の隙間~
幾つもの世界が門で繋がる街。その繋がり方は複雑で、しかもあやふやだ。 うっかり足を踏み外して時空間の隙間へ落ちれば、生きて元の世界に帰れる保証すらない。 だからこそ。「あんたや俺みたいに、自暴自棄になったヤツが、よく落ちてくるんだ」 隙間…
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SS・レシピ ~十二番街・ユージーン骨董店~
「こういうの作れる?」 珍しくリクエストされたのは、もう何百年も前に廃れた料理。渡されたレシピ本には材料と簡単な手順しか載っておらず、目分量で作ったらまるで違う料理になってしまった。「これはこれで美味しいよ」「いいや、何としても元の料理を再…
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SS・鍵 ~十二番街・ユージーン骨董店~
つい最近まで、その店には鍵すらかかっていなかった。 何故なら扉が歪みまくっていて、蹴り飛ばさないと開かなかったからだ。 盗まれて困る物もないし、とは店主の言い分だったが、それなら最近になって扉を直し、鍵を新調したのは―― 守りたい、大切な…
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SS・配達物:含み笑いの壺
その荷物は、群を抜いて怪しげだった。 見た目はごく普通の木箱だ。配送伝票には「骨董品(壺)」と書かれており、割れ物注意の札がベタベタと貼られている。 問題は――。 フフッ フフフ…… フフフフフフフ……「何なんですかこれー! ずーっと笑っ…
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SS・対戦の行方
かつて、『郵便チェス』なる遊戯が流行ったことがあったらしい。 対面で対局するのではなく、遠く離れた相手と、駒の動きを手紙で送りあって進めるという、実に気の長い遊戯だ。 どこかでその話を聞きつけたらしい友人が「是非やろう!」と言い出したのが…
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SS・最果ての塔
その塔は、世界の果てに聳そびえている。 往ゆきて帰らぬ最果ての島。 すべての思い出が辿り着く場所。 そこは――まさしく世界の果てだった。 果てなき海と終わりなき空、その狭間にぽつんと浮かぶ島。 泡沫の世界群から切り離された、隔絶された時空…
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SS・午睡
「こんにちはー」 たまの休日、友人の顔を見にふらりと骨董店へ立ち寄ったジャックは、やけに静かな店内に小首を傾げた。 鈴を転がすような声で出迎えてくれる可愛い看板娘も、ハタキを振り回す友人の姿も見当たらず、店内はかつて「いつ来ても開店休業中」…
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SS・音楽筐
《記憶の海岸》には、時々不思議なものが流れ着く。 機械仕掛けの翼、壊れた鳥籠、錆びた長剣、書きかけの手紙――。 世界の果てに打ち寄せるのは、記憶の欠片――世界の断片だ。 ほとんどは壊れて使い物にならないが、ごくまれに新品同様のものも流れ着…
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SS・落ち葉掃き
秋も深まってくると、道端が落ち葉で埋もれてくる。 ろくに通行人などいない道であろうとも、店の前が落ち葉だらけなのは見た目が悪いからと、時間を見つけてはせっせと掃き掃除をしている看板娘だったが、掃いても掃いてもまた降り積もる葉に、そろそろ息…
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SS・海へ
「海へ行こうよ」 唐突な言葉に、思わず調理の手が止まる。「急に何を言い出した?」「だって、夏と言えば海でしょ」「まだ夏じゃないぞ」 このところ真夏を思わせる気温が続いているが、本格的な夏の到来は一月以上先だ。「夏の連休の話だよ。たまには夏ら…
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