SS・永久の休日
木漏れ日射す窓辺に、クッションを二つ。 傍らに読みかけの本を積み上げて、あとはただゆるりと過ごすのみ。 窓枠に腰を掛けようが、毛布に包まってココアを啜ろうが、行儀が悪いと叱る人は、ここにはいないから。 できる限りの悪行を尽くして、永久の休…
SS ファンタジー小説 垂れ耳エルフと世界樹の街 小説
SS・果ての窓辺から
窓の外に広がるのは、どこまでも続く空。 その名の通り『世界の果て』、天高く聳える塔から見る景色はさぞ絶景だろうと言われるが、実際のところはひたすらに『空』。それだけだ。 朝も夜もない、ついでに雲一つない空。 永遠に変わらないこの場所を『時…
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SS・覚めない夢
目を開ければ、いつもの天井。 白く揺れるカーテンの向こうには、緑の丘と青い海。 世界はいつだって活気に満ち溢れているのに、私は寝台から起き上がることすら出来なくて。 ああ、それならせめて。 夢の中では、自由に走り回れたらいいのに。 どんな…
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SS・窓の灯
珍しく外出などしたのがいけなかったのだろうか。あちこちで呼び止められて世間話に付き合っているうちに、気づけば帰宅時間を大幅に過ぎていた。「もうこんな時間か。お嬢ちゃん達が待ってるんだろう? さっさと帰ってやんな」 誰のせいで遅くなったんだ…
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SS・霧の街
祖母の田舎は霧が深いことで有名だ。 とろとろと渦巻き、伸ばした手の先が見えなくなるくらいの濃霧は、幻想的という以前に恐怖の対象だった。 だからだろうか、祖母は口を酸っぱくして繰り返す。「霧の深い日は外に出ちゃいけないよ。違う世界に迷い込ん…
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SS・星を宿す樹
おやおや、この婆に何のご用かね? なに? なぜ《星祭》という名前なのかって? それが気になって夜も眠れない? それじゃあ、哀れな小鳥のために、特別に話してあげようかね。 古い――それはもう、気の遠くなるくらい昔から伝わるお話さ。 かつて―…
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SS・手料理
《世界樹の街》の郵便配達員が暮らす独身寮《蜂の巣》には食堂がない。 その代わり共同の厨房があって、誰でも自由に使っていいことになっているのだが、三食きっちり自炊するようなまめな者はおらず、ほとんどが外食で済ませてしまっている。「外食ばっか…
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SS・楽しいひとときを、君に
店を開くと決めたのは、単に暇だったからだ。いや、これまでもずっと暇だったのだが、これからもずっと暇を持て余すことに一抹の不安を覚えたから、と言った方が正しいか。 しかし、どうやら相談相手を間違えたようだ。貸店舗を探すだけのはずが、気づけば…
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SS・古のまじない
「よお、今日も精が出るな」 いつものように骨董店へ顔を出したオルトは、真っ赤な顔をして縫物に勤しむ看板娘の姿に、思わず顔をしかめた。「お前、暑くないのか?」「魔導人形は暑くても大丈夫なのです!」 そうは言っても、陽炎月だというのに長袖のドレ…
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SS・ライトスタッフ
まったくもってついていない。魔術が暴走して足を怪我したばかりか、愛用の杖まで壊してしまった。 腕の良い魔術士ならば杖がなくとも支障ないのだろうが、いかんせん集中力に欠ける私にとって、補助道具である杖は必需品だ。仕事のためにも新調するしかな…
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SS・新緑の季節
ついこの間まで寒風が吹き荒れていたというのに、気がつけば花の季節が過ぎて、木々は日毎に青さを増していく。 遥か頭上に揺れる世界樹の枝もまた緑に染まり、陽の光を浴びて光り輝くようだ。「いい季節になったねえ」 裏庭に寝転がり、木漏れ日に手を伸…
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SS・mannequin
以前から気になっていたのだ。 時折店の前を通りかかる銀髪の美少女。レースをたっぷり使った白いワンピースにお揃いのボンネット。まるでお人形のような彼女は、ショーウィンドウの新作ドレスを眺めては、幸せそうに溜息をついたり、何やら難しい顔をして…
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