勇者――それは世界の危機に応じて召喚され、圧倒的な力で巨悪を討ち滅ぼす者。
嘆き苦しむ人々の前に颯爽と現れて敵を討つ、一騎当千の強者。
剣を振るえば怪物の群れを薙ぎ倒し、呪文を唱えれば大地をも切り裂く。
人々は勇者の活躍に熱狂し、その功績を褒め称えるのだ。
しかし、勇者の名を知る者はいない。
孤高の勇者は今日も一人で世界を救い、そして去っていく。
吟遊詩人は歌うだろう。
『こうして世界は救われたのです。めでたし、めでたし』
勇者――それは神々によって造られた『最終兵器』。
その強大すぎる力は脅威になりかねないと、平時においては封印されてしまうから。
故に、今日も勇者は眠っている。
次なる戦いを夢見て、眠っている――
「Twitter300字ss」 第七十一回「眠る」
解説
正直、勇者ほど物凄い力(能力も人脈も、なんなら財産も)を持っていると、世界が平和になった途端に、為政者達から「自身を脅かす可能性のある重要人物」認定されかねないと思うんですよね……。
サイト初出:2020.12.05